米Wall Street Journalが伝えたところによると、オンラインを中心としたファッションブランドを展開するSHEINが20億ドル(約2,800億円)を調達し、同社の評価額が660億ドル(約9兆1,300億円)としたことを、近しい関係者の話として伝えた。
2022年4月には企業評価額1,000億ドルで資金調達を実施したことが伝えられたSHEIN(参考:米WSJ)。今回のラウンドでは評価を下げた形になるが、その要因としてハイテク企業の株価下落のほか、SHEINの強制労働や知的財産権の侵害について米議会で問題視されていることをあげている。
また、関係者からの話として、昨年のSHEINの売上高は230億ドル(約3兆1,900億円)で、純利益は8億ドル(約1,100億円)だったとしており、今年は売上高を40%伸ばす目標を掲げていることも伝えた。
SHEINは、米国や欧州を中心に約150以上の国と地域で展開しており、日本でも2020年12月にオンラインストアを開始し、2022年11月に原宿にショールーミング型店舗を展開している。「ファッションの美しさをすべての人に届ける」ことをミッションとしており、低価格で小ロットのファッションアイテムを販売する。発売時には100〜200個程度しか生産せず、需要があれば増産に転じる仕組みにより、過剰在庫を1桁に抑えることができ、無駄を省いていることがそれを実現する背景にあるという。
新たな動きとして、5月4日には他社がSHEINのオンラインストア上に出品できる「SHEIN Marketplace」を開始したことも発表している。4月にブラジルで導入され、続いて米国で展開したのちに、他の国にも展開していく予定だという。SHEINは「商品の多様性に対する需要の高まりに対応するための事業拡大」と説明する。
同社は、サプライチェーンに今後5年間で7,000万ドルを投資することや、VISION 2045をはじめとするサスティナビリティリーダーとしての役割を目指す取り組みも次々と発表している。様々な問題が指摘される中、自他ともに認めるサステナブルな企業へと成長していくことができるのか、今後の動向も注目していきたい。