体調管理のために「Fitbit(フィットビット)」などのウェアラブルデバイスを腕時計代わりに身につけている方が少しずつ私の周りにも増えてきています。
「Fitbit」などのデバイスとスマートフォンアプリからなるIoTサービスを使えば、「消費カロリー」「歩数」「睡眠状態」などを記録して日々の活動量を確認することができます。
自分の健康状態も気になるところですが、車好きの方にとっては車の健康状態も気になるのではないでしょうか?そんな方に車の健康状態がリアルタイムでわかる「Dash(ダッシュ)」をご紹介します。
デバイスを使って車の健康をチェックするアプリ「Dash」
「Dash」は車に詳しくなくても、簡単に取り付けられる市販のデバイスと連携して車の状態をリアルタイムで検知し、データを記録してくれるスマートフォンアプリです。ボンネットを開けたり専門店に行ったりする必要もありません。
「Dash」を使って車の健康状態をチェックするには、車のOBD-IIポートに接続する市販のOBDデバイスが必要になります。OBD-IIポートとは、車に搭載されている自己故障診断機能OBD(On-Board Diagnostics)の第二世代の規格で、アメリカ国内では1996年以降、EU内では2001年以降(ディーゼル車は2004年以降)、日本では2008年以降に発売された車に搭載が義務付けられています。
このOBDに接続されたOBDデバイスにBluetoothもしくはWifi(iOSのみのサポート)を使ってアクセスし、エンジン回転数、速度などのデータを取得して車の状態を把握します。汎用製品のため価格は抑えられており、アメリカのAmazonで検索したところ10ドル程度から販売されており、「Dash」推奨のデバイスでも価格は59ドルです。アプリ自体は無料なので初期費用は専用デバイスにかかるコストのみです。
「Dash」を使って出来ることは・・・?
実際の燃費、エンジンの温度、エンジン負荷など車の気になる健康状態の他に、アイドリングの割合、実際の速度などもアプリに表示されます。加えて、近くの安いガソリンスタンドの検索、過去の運転経路の記録、エンジンチェックランプの診断など多くの機能が用意されています。
普段はわかりにくい車の不具合も、OBDからのエラーコードを「Dash」が解析して知らせてくれ、不具合に応じて近くの信頼できる修理工場も紹介してくれます。更には車の衝突を検知した際は救急車の手配をし、メールで家族にも知らせてくれます。
また、運転中は運転方法が採点されます。
急ブレーキを踏んだり、急発進したりと、危険な運転や燃費を落とす運転をするとスコアが落ちて、アプリがユーザーに警告します。よいスコアを目指して運転すれば、自然と安全で燃費のよい運転になるようです。スコアはオンライン上で他のユーザーとも比較ができるので、安全でエコな運転をするモチベーションを保てそうです。
「Dash」は複数の車を登録できるので、車ごとのデータ保存が可能です。車にニックネームをつけて保存できるので、ますます車に愛着がわくかもしれません。
「Dash」を使ってSNS?!
「Dash」は「IFTTT(イフト)」を使って他のアプリケーションと連携させることもできます。現在連携できるアプリは227個。運転ログをEvernoteに保存することも可能ですし、FacebookやTwitterなどのSNSサービスと連携させておけば、ハイスコアを記録したときに自動で投稿することもできます。「IFTTT」を使えば、「Dash」と他のアプリとの連携方法は自由自在です。
競合他社
OBD専用デバイスとスマートフォンアプリによる同様のサービスは他にもあります。日本では、ベンチャーカンパニーであるSmartDriveが提供する「DriveOn(ドライブオン)」、アメリカでは「Automatic(オートマティック)」、インドでは「CarIQ(カーアイキュー)」などがあります。
「Dash」は市販の汎用デバイスを使用しますが、「DriveOn」は9,800円、「Automatic」は99.95ドル(約10,000円)、「CarIQ」は5,999ルピー(約9,000円)の自社製デバイスを必要とし、初期費用では「Dash」に軍配が上がります。また、「DriveOn」は現状iOS用のみの対応となっています。
現状は比較しても大きな機能の差は見当らないようです。アプリの使いやすさ、また新規ユーザー獲得のための多言語対応などが、今後のキーになってくるのではないでしょうか。
「Dash」の今後
Dashは2015年9月にヨーロッパ、カナダからもアプリがダウンロードできるようになりました。それに伴い、アメリカで使われているマイルやガロン表示だけでなく、キロメーター、リットル表示にも対応しました。現状のアプリでも一部の機能を除いてアメリカ国外でも動作するようですが、既に多言語対応やガソリンスタンド検索を含めたインターナショナル版アプリ開発に取り組み始めているようです。
同じアメリカの「Automatic」はデバイスの海外発送をしておらず、現状アメリカ国内のみのサービスであると公式に明言しています。同様のサービスが複数ある中で生き残っていくためには、既にアメリカ国外にも目を向けている「Dash」が優位であると言えそうです。
アメリカでは、OBDポートに専用デバイスを接続し走行距離や急ブレーキをかけたか等のデータを保険会社がトラッキングし、運転方法に応じて保険料を割引くサービス「SnapShot(スナップショット)」があります。「Dash」も保険会社とのコラボレーションなど、他業種と協業することでさらにビジネス拡大ができるかもしれません。
使い方も簡単で初期費用も抑えられている「Dash」。
車に詳しい方にとっては更に詳細な車の情報が得られ、詳しくない方にとっては頼れる相棒的に働いてくれる、何方にも便利なアプリです。日本語版のアプリもできると日本でも人気アプリになりそうですね!
Dash(ダッシュ)
https://dash.by/