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Shopifyがチャットボット型バーチャルアシスタント「Kit 」を買収

世界最大級のショップカートサービス「Shopify(ショピファイ)」を展開するShopifyは、バーチャル・マーケティングアシスタントの「Kit(キット)」を運営するKit CRMを買収すると4月13日(現地時間)に発表した。買収金額などは開示されていない。
Shopifyはこの買収により、「会話型コマース」という新時代に適応していく。
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「Shopify」は、簡単にネットショップの構築・管理ができるショップカートサービスだ。中小規模を主なターゲットとするサービスだが、テスラモーターズやレッドブルなどの大企業も採用している。現在では150以上の国において24万3,000社以上の企業に利用されている。

チャットボット型の自分専用バーチャル・アシスタント「Kit」

一方、今回Shopifyが買収する「Kit(キット)」は、SMSなどを通したテキストメッセージのやり取りで対話できるバーチャル・アシスタントだ。ショップオーナーは「Kit」と会話することで、ショップの運営レポートの受け取り、顧客への宣伝メールの送信、Facebookやインスタグラム上でのターゲット広告の配信、自社のFacebookページへの投稿などができる。つまり「Kit」は、テキストメッセージにより対話できる「チャットボット」の一種である。
イメージをつかんで頂くために、「Kit」を通じた広告配信を例にして、ショップオーナーと「Kit」との会話を見てみよう。

Kit:「昨日、黒のメッセンジャーバックを新製品として登録されましたね。私に何かできることはありますか? 1. 広告を配信 2. 顧客に宣伝メールを送る」
オーナー: 「1」
Kit:「かしこまりました。今回のマーケティング予算はいくらでしょう? 1. 10ドル 2. 20ドル 3. 30ドル 4. 40ドル 5. 50ドル」
オーナー:「3」
Kit:「早速仕事にとりかかります。他に何かできることはありますか?」
オーナー:「それだけでいいよ。ありがとう!」
Kit: 「お役に立てて、うれしいです。」

「Kit」は「Shopify」のプラットフォーム上で利用できるアドオン・アプリの一つでもあり、顧客から高い評価を受けていた。今後しばらくの間は、これまでと同様にShopifyのアプリとして提供される予定だが、今後の「Kit」の扱いについてはまだ発表されていない。しかし、今回の買収によりKit CRMのメンバーがShopifyに加わったことは大きな意味をもつ。

この買収により、Kit CRMが持つチャットボット開発のノウハウを獲得

この買収に先立つ4月12日に、Shopfyは「Facebook Messenger」と連携したことを発表した。
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これによりショップオーナーは、顧客に注文確認や発送状況のアップデート、注文変更に関するやりとりなどのカスタマーサポートを「Messenger」を通して直接提供することができるようになる。また、Facebookは「Messenger」で自動応答を可能にする「Bots for Messenger」を発表しており、自動応答によるショッピングアシスタントサービスの提供も可能になっている。

今回の買収によりShopifyは、このような「会話型コマース」という新しい時代に対応していくため、Kit CRMが持つチャットボット開発のためのノウハウを獲得したと考えられる。

チャットボットの時代が到来する?

チャットボットという大きな時代の流れを創り出しているのは 前述したFacebookだけではない。3月にはMicrosoftが「Skype」にチャットボットを導入することを発表し、ディベロッパーに対してチャットボット開発のためのツールキットを公表した。LINEは、同社のアプリ上で動くチャットボットを開発するためのAPIをオープン化すると発表している。そして、メッセンジャーアプリの「Telegram(テレグラム)」にはすでに多くのチャットボットが存在している。
このような背景をうけて、「チャットボットの時代」が到来したと語るものも多い。この買収は、Shopifyがその時代に適応していくための大きな一歩だと言えるだろう。


Kit(キット)
https://www.kitcrm.com/

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