
ソーシャル上の見込み客を見つけてアプローチ
「Hootsuite」は、PayPalやアディダス、スワロフスキーなど、1,800社以上の企業を顧客として抱える、世界最大級のソーシャルメディア管理ツールだ。企業はこのツールを利用することで、Twitter、Facebookといったソーシャルメディアの自社アカウントを一括して管理することができる。それでは、同社が今回買収した「Sales Prodigy」はどのようなサービスなのだろうか。「Sales Prodigy」は、TwitterなどのSNS上から特定のキーワードを含む投稿を抽出し、それらの投稿に対して直接リプライなどでアプローチできるアプリだ。
例えば、パソコンの修理サービスを提供する企業が「Sales Prodigy」を利用するとしよう。この企業はSNSに投稿されたポストの中から「パソコンが壊れたから買い替えよう。痛い出費だ」といったポストを抽出する。そしてその投稿者に対して、「買い替えるより、100ドルで当社の修理サービスを利用してみませんか?」とコメントし、直接サービスのプロモーションができるというわけだ。同社のアプリは顧客企業がすでに運用するCRM(顧客関係管理)システムと連携して利用することもできる。

ソーシャル・セリングを強化
この「Sales Prodigy」を買収することによって、Hootsuiteは同社の「ソーシャル・セリング・ソリューション」を強化しようとしている。これは同社が顧客企業に提供する付加価値の一つで、顧客企業は「Hootsuite」のダッシュボード上でセールスにつながりそうなシグナルを見つけ出し、それに対して反応することができるというもの。これは「Sales Prodigy」が提供する機能によく似ているが、実はこれまで同アプリは「Hootsuite」上で利用できるサードパーティアプリの一つでもあった。
Hootsuiteは今回の買収以前にも、同社のソーシャル・セリング・ソリューションの強化に取り組んできた。昨年11月にはMicrosoftとの提携強化を発表。Microsoft Office 365、SharePoint、Microsoft Dynamics CRMなどのアプリケーションとのネイティブ統合を実現した。これにより、Hootsuiteの顧客企業は、同社のプラットフォーム上からMicrosoft Dynamics CRM内の情報にアクセスすることなどが可能になった。このように、Hootsuiteは単なるソーシャルメディアのダッシュボードを提供する企業ではなく、同社のプラットフォームを通して顧客企業に最適なソーシャル・マーケティングの機会を提供する企業へと進化しようとしているのだ。

Hootsuite Sales Prodigy https://hootsuite.com/enterprise/social-sales