ヤフーは10月7日、「Yahoo!ショッピング」のストア出店料や月額利用料の無料化を発表しました。発表から2週間で出店申し込みが約5万5千件という反響ぶりで、関心の高さが伺えます。
Yahoo!ショッピングの店舗数は2013年9月末の時点で約2万店舗。少なくとも月額手数料25,000円×20,000=5億円をYahooは手放したことになります。初期費用や売上ロイヤルティも無料化にしているため、月間で10億円の減収という予測もされています。
ビジネスモデルの転換という意味でもかなりインパクトが大きいYahoo!ショッピングの無料化。今回の変更で出店を検討している方も多いのではないでしょうか。今回はほんとに無料なの?ってところを調べてみたいと思います。記事の後半では「Yahoo!ショッピング」が用意したシミュレーションをご紹介します。
まずは無料化された項目を確認
以下は今回無料化された項目の確認です。詳細はYahooのプレスリリースをご確認ください。
初期費用 | 21,000円(税込)→ 無料 |
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月額利用料 | 25,000円(月/税込)→ 無料 |
売上ロイヤルティ | 売上の1.7%〜6.0% → 無料 |
このように大きな固定費部分は間違いなく無料になっています。
無料にならない項目はあるの?
ということで、費用がかかる部分を確認してみました。費用がかかるのは以下の4点です。
- アフィリエイト経由で購入された場合
- 設定したTポイント分の費用
- 決済サービス手数料(購入者が決済サービスを利用した場合)
- オプションサービスを利用した場合
では、1つ1つ説明していきましょう。
アフィリエイト経由で購入された場合
Yahoo!ショッピングはブロガーなどを対象にYahoo!アフィリエイトを提供しています。これはYahoo!ショッピングで販売されている商品へリンクを貼り、そのリンク経由で商品が購入されれば、定められた報酬料率分がブロガーに支払われるというものです。
例外を除いて、Yahoo!ショッピングに掲載されている商品はすべて掲載することができるので、すべての店舗が対象となります。
アフィリエイト経由で購入された店舗運営者は最低1%の報酬を支払う必要があり、報酬率を高く設定することも可能です。
アフィリエイトパートナー報酬原資 | 1%〜71%(1%は必須) |
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アフィリエイト手数料 | アフィリエイトパートナー報酬原資の30% |
設定したTポイント分の費用
Yahoo!ショッピングで買い物をすると、購入者にTポイントが付与されますが、このポイントも商品を購入された店舗の負担となります。
ただし、Yahoo!ショッピングの企画でポイント10倍キャンペーンなどを行った場合は、店舗側が設定したパーセント以上に負担する必要はありません。
Tポイント原資負担 | 1%〜15%(1%は必須、店舗側が設定) |
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決済サービス手数料
当然ながら、購入者が決済サービスを利用した場合は手数料が発生します。以下が決済サービスの個別手数料です。初期費用や基本手数料は無料です。
クレジットカード | 決済金額の3.24% |
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モバイル支払い | 決済金額の4.7% |
モバイルSuica | 決済金額の3.6% |
コンビニ決済 | 150円/件から |
ペイジー決済 | 150円/件 |
オプションサービスを利用した場合
当然ですが、Yahooが提供するオプションサービスを利用した場合の費用は発生します。物流代行サービスのYahoo!ロジスティクスや、出店者向けのレンタルサーバーサービス「トリプル」があるようです。
- Yahoo!ロジスティクス・・・物流代行サービス
- トリプル・・・・出店者向けのレンタルサーバーサービス(3000円〜)
ということで、ひと通り無料にならない項目を調べてみましたが、当然店舗側が負担するべきところばかりで、Yahooの収益になりそうな項目はありませんね。
では、どこで収益を上げるの?というのが率直な疑問になると思うのですが、明言しているのは広告費で収益を上げていくということです。
しかし、かつてYahoo!BBでネットの普及に貢献したように、EC市場そのものを拡大するという大きなミッションのもと動いている側面もあり、とにかくYahoo!ショッピングの利用者拡大が最優先事項として、収益性は後回しという考えがあるのかもしれません。
月商によってかかる費用がわかる公式シミュレーションツール
実際どのぐらい費用がかかるのか月商を入力するだけでシミュレーションができるツールをYahoo!ショッピングが用意しています。例えば月商100万円で、Tポイントとアフィリエイトの項目を最低ラインの1%でシミュレーションしてみると・・・。
このように合計25,376円(税別)が費用として発生する結果になりました。月商の2.5%ほどですね。
Tポイントとアフィリエイトを1%に設定したのに、なぜTポイントが8000円で、アフィリエイトが2400円なのか疑問に思う方もいるかもしれませんが、これはだいたいTポイントの発生率が80%。アフィリエイト経由の購入率が24%になることを意味しています。
ショップを運営されている方は是非シミュレーションしてみてください。
http://business.ec.yahoo.co.jp/shopping/archives/simulator.html
ヤフーは無料化によって、「売り手の数No.1」→「品揃えNo.1」→「買い手の数No.1」という循環を生み出し、圧倒的なショッピングモールになることを狙っています。今後どれぐらい人を集められるのか注目です。