Appleが提供するワイヤレスイヤホン「AirPods(エアポッズ)」が12月19日に発売されました。当初は10月下旬を予定していましたが、遅れること2ヶ月弱でようやくの販売開始となりました。12月13日の深夜になんの前触れもなくAppleのオンラインストアで予約が開始されたのですが、数時間ほどで初回発送分は売り切れとなってしまいました。現在は6週間待ちといった状況です。
今回初日に手に入れることができ、色々と試してみましたが、さすがの完成度といった感触でした。外れにくさを確認するためにジョギングなどでも使ってみたので、そのレポートをお届けしたいと思います。
コードがない完全ワイヤレスなイヤホン
iPhone7からイヤホンジャックを取り除き、ワイヤレス化の推進を狙うAppleが満を持して発売したのが、ワイヤレスイヤホン「AirPods」。左右のヘッド部分をつなぐコードもないため、完全ワイヤレスなイヤホンです。
確かにイヤホンのコードには色々なストレスを感じます。「こんがらがったコードを解く時」「コードの長さで身動きを制限される時」「ちょっとだけ使いたいときの面倒くささ」などなど、色々なことが思い浮かびますね。
iPhone7が発表されてから、私もいくつかのワイヤレスイヤホンを試してみました。いま世の中に出ているほとんどのワイヤレスイヤホンは、ヘッド部分を短いコードでつなげ、スマホなどの端末とBluetoothで接続できるというものです。確かにコードの煩わしさからある程度解放してくれますが、また違ったストレスを感じることもわかりました。
「Bluetoothの接続が不安定になリがち」「こまめに充電する必要がある」「音質が良いものがあまりない」「端末を切り替えるのがかなり面倒」など。高価格帯のものであれば音質には満足できるかもしれませんが、そのほかの問題はなかなか解消が難しい部分だったりします。
製品によっては「重い」だとか「外れやすい」だとか、「ヘッド部分をつなぐコードがしっくりこない」など、固有の不満もありました。
しかし、「AirPods」はこれらの問題をほとんど解消してくれました。
AirPodsはあらゆるイヤホンのストレスから解放してくれる製品だった
初日に使ってみた感想としては「かなり高い完成度」で、イヤホンの使い勝手が格段に高まる感触を得ることができました。常に期待値が高いのもありますが、Apple製品で久しぶりに期待を上回ってくれた製品です。
ポイントとしては「着脱の容易さ」「端末の切り替えの容易さ」「電話での使い勝手の良さ」「接続の安定性」「コードレスによる快適さ」があります。
まず驚いたのが初期設定の簡単さ。iPhoneの近くで充電ケースを開けると、画面に「AirPods」の設定ウィンドウが表示され、「接続」というボタンをタップするだけで完了します。しかもiCloudにサインインしていれば、同じApple IDでサインインしているすべての対応デバイスも、同時に自動で設定してくれるのです。
これは初回の接続時を撮影した動画です。2回目以降は勝手に接続されます。
それでは、ポイントとしてあげた点を一つひとつ説明していきます。
耳につけるだけでスイッチが入る
まず、イヤホンを使う際の動作が最小限であることが「AirPods」の魅力です。使う際は、ケースから取り出して耳に装着するだけ。「ボワン」という音が聞こえたら、端末と接続された合図です。最後に使った端末に自動で接続されます。
両耳にイヤホンをつけた状態で、片方を外すとスピーカーがオフになります。なので、音楽を聞いているときにイヤホンが外れればすぐにわかるようになっています。両耳を外すと接続が解除され、iPhoneで音楽を再生していた場合は停止されます。
接続が解除された状態から片方だけをつければ、片耳だけで使うこともできます。
端末の切り替えの容易さ
これもお気に入りのポイント。iPhone、iPad、Macなどの対応製品の切り替えはかなり快適です。前述した通り、同じApple IDを使ってる製品であれば、スピーカーを切り替えるだけで端末が切り替わります。Macの場合は、メニューバーにあるスピーカーアイコンをクリックすると「AirPods」が表示されるので、それを選択するだけ。
切り替えにかかる時間は大体10秒程度なので、ややもたつく感がありますが、それでも快適です。
電話はすべてAirPodsになるかも
私はライターという仕事柄、メモをしながら電話するということがよくあるので、以前、電話用に片耳用のワイヤレスイヤホンを購入しました。ただ「用途が限定されたものを常時充電された状態で手元に置いておく難しさ」「電話する際に取り出してつける面倒さ」「接続された状態じゃないとかかってきた電話に出れない」などを理由に、しばらくして使わなくなってしまいました。「AirPods」はこのあたりの問題も解消してくれます。
「AirPods」の場合、iPhoneと接続された状態であれば、ダブルタップするだけで電話に出ることができます。ここまではその他の製品と変わらないかもしれませんが、電話が鳴ってから耳につけても電話に出ることができるだけでなく、電話の途中につけてもスムーズに切り替わってくれるのはかなりの高ポイント。片耳だけで使えるメリットもここで生きてきます。
少し試した程度ですが、電話時の音はクリアでした。声とその位置を認識して周囲のノイズを取り除いてくれるのですが、確かにテレビの近くでもノイズがあまり入っていませんでした。
接続が途切れるようなことはいまのところなし
ワイヤレスイヤホンでありがちな、接続がプツプツ切れる問題。これもいまのところ全くありません。接続しているiPhoneと10mぐらい離れて、ようやく切れそうになったぐらいなので、かなり安定してます。
問題が生じやすいジョギング中でも常に安定していたので、いまのところいうことありません。
コードレスによる快適さ。取れてしまうことはない?
やはりヘッド部分をつなぐコードもないことはかなり快適です。軽くてフィット感も優しい感じなので、つけていることを忘れている瞬間もあるぐらいです。特にジョギングの時は、かなり快適でした。
ティム・クックはabcのインタビューで、「イヤホンが外れる理由はコードの重さによるもの」として「AirPods」が外れにくいことを強調しています。
実のところ、私の耳は片方が少し変わった形状をしていることもあり、iPhoneに付属しているイヤホン「EarPods」がかなりゆるく簡単に外れてしまう問題がありました。その為、「AirPods」に関しても不安だったので、不要になった「EarPods」のコード部分を切ってみたところ、確かに格段に外れにくくなったのです。それで購入することにしました。
実際「AirPods」がどうだったかというと、ヘッド部分の大きさはiPhoneに付属しているイヤホン「EarPods」と同じなので、やはり同様にゆるいのは変わりませんでした。頭を上下に振る動きでは大丈夫ですが、左右に首を思いっきり振ると、数回で落ちそうになります。ただ、ジョギングしても抜けてしまうことはなかったので、日常生活で取れてしまうというのはよっぽどのことがない限りないと思います。ゆるゆるでもそれなので、普通にフィットする人は全く問題ないかと思います。ちなみに私も普通にフィットする方の耳はどんなに頭を振っても落ちません。
容赦なく頭を振っている動画もあるのでご参考に。
Alright, the Apple wireless Air Pods are in! Let's see how they do with some jumping and shaking. #AppleEvent pic.twitter.com/FZaReT24f4
— Natalie DiBlasio (@ndiblasio) 2016年9月7日
ちなみに左右のイヤホンがコードで繋がってるタイプのワイヤレスイヤホンの方が、ふとした瞬間にコードに手が当たって取れてしまうということがあったり、コードが擦れる音が気になったりといったことがありました。これらの問題は「AirPods」ではありません。
そのほかのポイントについてもいくつか触れたいと思います。
音質はそこそこ?
私は低音が強めのイヤホンが好きなのですが、「AirPods」を最初つけたときの印象は可もなく不可もなくといった感じでした。ただ、つけてるうちにしっくりきて、「結構いいかも」と感じるようになりました。ただ、悪い意味で慣れた可能性もあるので、音楽に関しては「そこそこの満足度が得られる」といった評価になると思います。
ただ、ドラマなどの動画の音に関しては、これまで使っていたイヤホンより格段にいいように感じました。そういった意味では、バランスの良さが際立っているのかもしれません。理由はわかりませんが、Macに繋げた時が特に違いを感じました。
ちなみにiPhoneに付属しているイヤホン「EarPods」と比較してみたところ、「EarPods」が軽くてぼやけた音のように感じるのに対し、「AirPods」は少し落ち着いてしまった音を出してくれる印象で、「AirPods」の方がかなり良く感じました。
充電はケースに入れるだけ
公式によると「Airpods」のバッテリー駆動時間は最大5時間とのこと。充電はバッテリーが内蔵されている専用ケースに入れるだけ、15分の充電で3時間使えるようになります。ケース自体の充電はLighteningケーブルを挿して行います。
最後にSiriについても触れておきたいと思います。「AirPods」をダブルタップするだけでSiriが起動します。「音量をあげて」「曲を停止して」「自宅までの道順は?」などで使うことができますが。正直なところダブルタップより「Hey Siri!」と言った方が早い感じです。どちらかというと、マイクが口元になるのがメリットでしょうか。ちなみにタップする場所は、ヘッド部分と棒状になっている部分のちょうど境目のあたりを軽く「ポンポン」とするとしっかり反応してくれます。
ちなみにこのダブルタップの役割を「曲の再生/停止」もしくは「AirPodsのオフ」に切り替えることもできます。Bluetooth設定画面の「AirPods」の欄にあるインフォメーションマークをタップすることで設定できます。
まだ1日しか使っていないませんが、いまのところかなり満足度が高いです。これまでMac用、移動用、ジョギング用、電話用と色々な場面に合わせてイヤホンを使い分けてきましたが、それを「AirPods」ひとつにまとめられそうで、これがかなり大きなポイントです。それだけでなく、イヤホンにおける様々なストレスから解放されるのではないかと思います。
税抜16,800円と、安くはありませんが、イヤホンでストレスを感じてる人は検討の価値があると思いますよ。