原宿に現れた“ブランドに関する情報を一切明かさない”体験型ジュエリーショップ「匿名宝飾店」がその正体を明らかにした。ブランドイメージに捉われず“デザインと品質”のみで選んでもらうことを目的としたこの店舗を展開するのは「4℃(ヨンドシー)」。
原宿キャットストリートのBANK GALLERYに9月8日〜9月24日までの期間限定でオープンしており、ブランド名を明かす前の時点で約4,000名が来場している。
純粋にジュエリーと向き合ってもらう体験
2022年にブランドの誕生から50周年を迎えた「4℃」。今回の企画はブランドがまだ無名だった頃へ原点回帰し、ブランドイメージから離れて、顧客にジュエリーそのものを見てもらいたいという狙いがあったようだ。
ブランドの看板を排除することで、ジュエリーショップにおける気疲れや緊張感を排除し、ジュエリーと向き合う時間がもっと楽しくなる、新しい店舗体験を提供することを目指した。
店内では、「展示」「試着」「撮影」「購入」のエリアに分け、様々な体験コンテンツを展開。指のサイズ、パーソナルカラーなどをもとに自分に似合うジュエリーを知るためのジュエリーカルテの作成や、フォルムや着け心地、ジェンダーレスなどの8つの展示カテゴリーから自由に手に取りジュエリーの試着体験、そして、ビュッフェ形式でたくさんのジュエリーの中から好きなものを選んで撮影ができるフォトブースなどを設けた。

Jewelry Karte – 意外と知らない全ての指のサイズを計測する立体型リングサイザーや、顔タイプ、パーソナルカラーなどから似合うジュエリーがわかる展示ボードを元に、自分だけのジュエリーカルテを作成できる。
今回ブランド名を発表するまでは、購入者は購入後に商品のパッケージや保証書からブランドがわかるようになっていたが、購入しなかった場合でも全員に配布しているリーフレットの中のスクラッチを削ることでブランド名が判明する形となっていた。
来場者に体験後に任意で行なったアンケートでは、「正体が意外すぎた」「良いイメージに変わった」「匿名であることで初めて手に取ることができた」といった声が寄せられたという。
ブランドイメージをあえて取り去ったコミュニケーションに挑戦した「4℃」。情報が溢れる現代において、良くも悪くも情報に左右されるのが現在の消費のあり方だが、今回の「匿名宝飾店」はモノとの向き合い方への一つの問いかけになったのかもしれない。