ミクシィは、グループ企業のフンザが提供するチケットフリマサービス「チケットキャンプ」を5月末に終了することを発表した。商標法違反および不正競争防止法違反の容疑で捜査当局による捜査を受けたことをきっかけとして、内部調査による指摘やチケットの二次流通に関する法案整備の動きなどを勘案し、サービスの終了に至っている。
国内最大のチケット専門売買サイトが閉鎖
「チケットキャンプ」は、会員数300万人を超える国内最大のチケット売買サイトとして運営されていたサービス。2015年3月にミクシィが115億円で買収したのち、テレビCMなどのプロモーションも展開し順調に利用者を拡大させていた。
12月7日に商標法違反および不正競争防止法違反の容疑で捜査当局による捜査を受けたことを発表し、調査委員会を設置したほか、チケットキャンプの新規会員登録・新規出品・新規落札を停止していたが、そのままサービスを終了させる形となる。
経営責任を明確にするためにフンザ社の代表である笹森良氏と取締役の酒徳千尋氏も12月27日付で辞任したことが発表された。
今回の商標法違反の捜査対象となった登録商標は「ジャニーズ」および「宝塚歌劇」。フンザが運営していたメディア「J ジャニーズ通信 Johnny’s News Service」と「宝塚歌劇倶楽部 Takarazuka Revue Club」が問題の対象となった。
これらのメディアは、チケットキャンプを開始した2013年に順次開設されており、チケットキャンプへの送客を目的として運営されていた。(捜査対象外だがEXILEのメディアも運営していた)
現在はサイトを閉鎖しているが、これらのメディアではタレントに関する情報(コンサートの開催決定情報、コンサートレポート、タレントのプロフィール、タレント関連グッズ、ファンクラブ等)の記事を発信しており、サイトが公式のものと誤認させるような表記になっていたことが指摘されている。
また、別件で電子計算機使用詐欺容疑の疑いでもフンザと転売業者に捜査が入っており、朝日新聞がその転売業者を取材したところ、大量出品する転売業者に手数料を優遇していた実態も明らかになっている。
チケットキャンプは、「転売する目的で得たチケット等を出品してはならない」と規約で定めており、いわゆるダフ屋行為を禁止していたが、転売業者に対し自ら手数料0%での出品を持ちかけ、出品を促していたことが判明。ダフ屋行為を助長する行為を自ら行なっていたことも明らかになった。
ミクシィがサービスの終了を発表したきっかけとしたのは商標法違反の捜査としているが、その背景には転売行為の助長をしていた実態があり、マーケットの健全化と逆行する動きがサービス終了まで追い込まれた大きな要因となったものと思われる。