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ZOZOがファッションECのサイズ問題を解消か ー サイズ計測用のボディースーツ「ZOZOSUIT」を無料配布開始

オンラインで服を買う際の課題として長年あげられてきたものとして「試着できない」という問題がある。フィット感を確認できないため、初めて購入するブランドはオンラインストアで購入することに躊躇してしまう人も多い。
その問題に対処するためのサービスとして、自宅で試着して無料で返品を受け付けるサービスや、自分が持ってる服とサイズ感を比較できるサービスなどが提供されてきた。しかし、完全な解決に至っていないというのが正直なところだ。
そんな中、スタートトゥデイが提示した解決策は「瞬時に採寸できるボディースーツを無料で配る」というものだった。誰でも手元で採寸できるようにすることで、すべて利用者の正確な寸法データを把握しようとするアプローチだ。

究極のフィット感を実現するボディスーツ

ファッションショッピングサイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは11月22日、着用するだけで身体の寸法を瞬時に計測することができるボディスーツ「ZOZOSUIT(ゾゾスーツ)」を発表し、同日より無料配布の予約受付を開始した。上下セットのボディースーツを着用し、ZOZOTOWNアプリを入れたスマートフォンをかざすだけで寸法データを取得することができる。初回は無料で提供し、2回目からは3,000円で販売する。
スタートトゥデイは先日プライベートブランドを年内に販売開始することを発表しており、差別化のポイントは「究極のフィット感」であることを明らかにしていた。はやければ11月末にもプライベートブランドの販売が開始される見込みだが、このブランドを購入する際には「ZOZOSUIT」での計測が必須となっており、それを前提としたフィット感の実現であることがわかった。まずはユーザーのサイズを正確に把握し、それに応じたサイズを提供するといった具合だ。
プライベートブランドでは在庫を持たない運用となるようだが、どのようにユーザーの体型にフィットさせるのかは、販売が開始された際に明らかになるだろう。ちなみにブランド名は「ZOZO」に決まっている。

いつでも再計測可能なボディスーツがユーザーの元に

「ZOZOSUIT」が何より魅力的なのは、ボディースーツがユーザーの手元に残り、いつでも再計測できることだ。オーダーメイドサービスの中では、初回に店舗で採寸し、2回目からはネットで購入可能なものがあるが、人の体型は刻々と変化してしまうため、半年後には正確な寸法ではなくなってしまう恐れがある。結果的に再購入を躊躇してしまう要因になるのだが、この問題が解消されることは大きい。

このボディースーツは、スタートトゥデイが2016年6月に出資したニュージーランドのソフトセンサー開発企業StretchSense社によって開発されている。スタートトゥデイは同社の技術がプライベートブランドを展開する上で必要不可欠なものと位置づけており、11月22日には同社の完全子会社化を視野に入れ、全株式を選択的に取得できるコールオプション契約を締結したことも明らかにした。現時点で39.9%の株式を取得しているとのことだ。
実質的にこの技術に関しても独占契約の状態にある。

すでにアメリカとドイツに現地法人を設立

すでにアメリカとドイツで現地法人を設立しており、来春からは海外でもプライベートブランドを展開する準備を進めている。グローバルで展開するファッションアプリ「WEAR」を足がかりに現地の人々にどのように受け入られるかが注目になる。
それに先がけて、11月22日には「ZOZOSUIT」のグローバルサイトもオープンしており、世界160カ国からの注文受付も開始した。どのようなスピード感になるかはわからないが、ゆっくり展開するのではなく、一気に攻めようとする姿勢が伝わってくる。

本当に正確な計測ができるのかどうか

スタートトゥデイが思い描く世界が実現すれば、様々な前提がひっくり返るといっても過言ではない。オンラインで服が買えないという問題はほぼ解消されるからだ。もちろん見た目や肌触りを確認することはできないが、その問題は小さく感じるものになるだろう。
計測したデータがどのように扱われるのかは現時点ではわからないが、ZOZOTOWNで販売されている服のフィット感がすべて確認できるようになれば、それだけでZOZOTOWNで購入する動機にもなりうる。
問題は本当に正確な計測ができるテクノロジーなのかどうかという点。しかし、スタートトゥデイ代表の前澤氏からかなりの自信が伺える。
先日の決算説明会ではプライベートブランドを「ZOZOTOWNに続く第二の収益の柱を目指し、数年内にZOZOTOWNの事業規模を超えたい」と明言したほか、「ZOZOSUIT」を一部のユーザーを対象にした試験提供という形ではなく、全ユーザーから予約注文の受付を開始した点だ。競合がどうのという間も無く、一気に広めようとする意気込みが伝わってくる。


「ZOZOSUIT」は2018年に大きなムーブメントを生み出すことになるのか、今後の展開にも注目だ。

イイヅカ アキラ
ST編集長。Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。

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