
日本で最初に生まれたフリマアプリ「フリル」
「フリル」は、2012年7月27日に日本で初めてサービスを開始したフリマアプリ。当初は女性のみを対象にサービスを提供していたが、2015年7月からは男性にもサービスを利用できるようにし、同時にファッション特化というポジションを明確に打ち出している。現在、アプリのダウンロード数は500万件を突破しており、2015年7月時点での出品数は月間100万件以上だった。

「フリル」「ラクマ」は業界2番手と3番手
フリマアプリに関しては「メルカリ」が圧倒的なポジションを築いており、日本で3,000万ダウンロードを突破したほか、月間流通金額は2016年3月時点で100億円を突破している。アメリカでもサービスを開始しており、すでに1,000万ダウンロードを突破している。「フリル」に関しては、2014年10月に月間流通総額が5億円を超えたという発表を最後に数字は未公表で、「ラクマ」はまだ発表したことがないが、両社サービスにおける月間流通総額の合計は2016年7月末時点で数十億円規模に達していることを今回明らかにした。
「フリル」がフリマアプリ市場2番手で「ラクマ」は3番手と考えられるが、この両サービスを合わせてもまだ「メルカリ」とは差をつけられている状況だ。
楽天はなぜ「フリル」買収したのか
「ラクマ」がありながら楽天はなぜFablicを買収したのか。Fablicはこのまま楽天の子会社として存続させ、「フリル」もそのまま継続していく考えで、両社それぞれの顧客基盤や各サービスの強みを生かした様々な連携を進めていくとしている。しかし、ハイセンスな世界観と、フリマアプリ内の健全性やコミュニティを大事に育ててきた「フリル」と「ラクマ」の顧客が相互に行き来するのはイメージしにくい面があるのが正直なところだ。
先日楽天は「楽天オークション」を10月末でサービスを終了し、経営資源を「ラクマ」に集中させることを明らかにしている。2016年3月に「ラクマ」が「楽天オークション」の流通総額を逆転した状況の中での決断であり、楽天がフリマアプリ市場に期待を寄せていることは間違いない。

こういった状況を考えると、楽天は「メルカリ」がまだ進出していない東南アジアの市場での展開を加速させるため、フリマアプリを4年間運営したノウハウと20代前後の顧客層を持つFablicを買収したのではないかと考えられる。
一方のFablicにとっても、2015年12月に「ZOZOTOWN」のスタートトゥデイが「ZOZOフリマ」の提供を開始したことで強力な競合が登場し、ファッション特化型のフリマアプリというポジションが盤石ではない状況が生まれていたことも、同社が楽天グループを決めた要因となったのではないだろうか。
今後の具体的な動きとして、「フリル」で楽天会員IDによるログインを可能にし、「楽天スーパーポイント」を活用したポイントキャンペーンを行っていく予定とのことだ。果たして、今後両社がどのような手を打ってくるのか。フリマ市場の今後に注目である。