オンライン決済サービス「PAY.JP」を運営するBASEは、購入者向けのID型決済サービス「PAY ID(ペイアイディー)」の提供を6月27日より開始した。まずは同社が運営する「BASE」でショップを開設する20万店舗に導入し、その他サイトにも拡げていく計画だ。
いきなり20万店舗で利用できるID決済へ
BASEは、開発者が簡単にウェブサイトに決済機能を導入できるサービスとして「PAY.JP(ペイドット ジェーピー)」の提供を2015年9月に提供を開始したが、この決済サービスを導入するサイト共通で利用できるID決済サービスとして「PAY ID」を新たに開始した。
まずは「BASE(ベイス)」でショップを開設する20万店舗に順次導入し、「PAY.JP」を採用するショップやサービスにも順次拡げていく計画だ。
「PAY ID」は、オンラインストアなどのサイト利用客がログインするだけで決済が可能になるサービスだ。例えば「BASE」の店舗を例にあげると、これまでは過去に購入したことがある店舗の場合でも、商品を購入する度に住所やクレジット番号の入力が必要になっていたが、「PAY ID」が導入されることにより、同一店舗はもちろん、はじめて利用する店舗でもこれが不要になる。
BASEはこれを「BASE」内だけではなく、「PAY.JP」を採用するすべてのサイトで導入できるようにすることで、サイトをまたいだID決済サービスとして普及を目指す。
「PAY.JP」を導入するサイトは、決済の選択肢として「PAY ID」を新たに追加できるようになる。決済手数料は、クレジットカードによる決済と同じ3%もしくは3.6%で提供する。
共通で利用する情報は、クレジットカード番号・住所・氏名・メールアドレスとなり、ユーザーが許可すれば、これらの情報をサイトをまたいで活用できるようになる。
価値の交換をよりシンプルに
現状「PAY ID」を利用するにはクレジットカードの登録が必須となるが、将来的にはそれ以外の選択肢も追加していく考えだ。例えば、BASEが自ら与信を付与することも選択肢としながら、より決済手数料が安いサービスにしていく方針だ。「3%の決済手数料でも高いと思っている。理想としては0.数%まで下げたい。」(BASE代表の鶴岡氏)としており、限りなく0に近い世界を目指そうとしている。
将来的には、ネットだけではなく、リアル店舗の決済でも使えるようにしていく。現状のイメージとしては、スマートフォンを活用して、リアル店舗でバーコードやBluetoothによる決済を可能にするというものだ。
鶴岡氏が目指すものは「クレジットカードをリプレイスするというよりは、お金自体のリプレイスを目指している」というものだ。おそらくそれは、お金とモノの交換という概念にとどまらない。
BASEは「価値と価値の交換をインターネットを介してよりシンプルにする」というミッションを掲げており、それを実現するために「BASE」や「PAY.jp」を提供してきたという。「PAY ID」の提供により、様々な価値と価値の交換が可能になる世界が実現されていくのかもしれない。
「サービス開始日には数百万人がPAY IDという選択肢を目にすることになる」と語る鶴岡氏。まずはサービスの浸透が必要なのは間違いないが、これまで会員登録さえできなかった「BASE」ショップの利用客にとっては待ち望んでいたサービスとなるだろう。これが想像以上に速い浸透を実現するかもしれない。
PAY ID
https://id.pay.jp/