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Cart、決済手数料も含め完全無料で出店できるショッピングモールを開始

キュレーションに強みを持ち、ショッピングマガジンとして運営してきた「Cart(カート)」が完全無料で利用できるショッピングモールへと進化する。「Cart」を運営するカート社は、決済手数料や売上ロイヤリティなどが発生せずに完全無料で利用できるショッピングモールを新たに開始した。
月額利用費やポイントバック相当分も無料で、企業だけでなく個人も出店できる。
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決済手数料0円で上限も設定しないショッピングモール

「Cart」は、気になるキュレーターやショップをフォローすることで、様々なネットショップの商品情報やコンテンツを受け取ることができるサービス。これまでは欲しい商品があった際に、外部のECサイトに遷移して購入できる形となっていたが、新たにカート機能が追加され、購入まで完結するショッピングモールへと進化する。
無料で自社のECサイトをオープンできるサービスの登場やショッピングモールの無料化により、出店への敷居はかなり下がっており、カート社の調べでは2015年の国内ネットショップ数は89万店を超える規模となっている。
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しかし無料化といっても決済手数料は当然発生するので、月商100万円で5万円程度のコストがかかる計算になるのが一般的だ。カート社は決済手数料も無料化することで、完全無料で運営できるショッピングモールとした。決済額の上限も設けず、今後も手数料を取ることは「絶対にない」(カート代表の尼口氏)とのことだ。
以下の表は月商100万円の場合に各社でかかる費用をカート社がまとめたものだ。
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当然ながら決済手数料はカード会社が0円で提供しているわけではないので、カート社がそこを出店者に変わって負担する形となる。
「決済手数料はボリュームディスカウトができる部分なので、集めることで個店ではできなかった条件を作ることができ、それをできるだけ最小化している。他にも保守メンテ費用など、どうしてもかかってくる部分は経営とエンジニアリングの工夫で色々と削っていき、決済手数料などのコストを受け入れられるようにしている。」(尼口氏)
「Cart」の現在の月間アクティブユーザー数は38万人ぐらいで、約4,800のショップと170名を超える著名なキュレーターが参加している。集客に特化した「Cart」がここでカート機能をなぜ追加したのか。
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カート代表の尼口友厚氏

「Cartはもともと集客に特化したサービスだった。お店への送客がうまくいったお店も出てきているが、購入につながったかというと必ずしもそうではない面があった。それぞれのサイトで個別に購入手続きする形になるので、会員登録が必要になるなど、長いものだと購入まで20ステップかかるケースもあった。そうすると、どこかで欲しい気持ちを冷ましてしまい、どうしても離脱してしまう。Cartで衝動的に欲しいと思ってもらったユーザーがサクッと買えるようにしたかったというのが、今回カート機能を追加した経緯。」(尼口氏)
すべてのショップがカートに切り替わるわけではなく、希望する店舗から順次切り替わっていく形となる。当面はこれまで通り自社ECに送客する形でも利用できるとのことだ。

なぜ決済手数料まで0円にしたのか

なぜ決済手数料まで0円にするほど思い切ったのか。
「日本中のものを集めて、海外に向けて発信して売れるようにしていきたいが、日本中のものがまだ集まっていない。1つの理由として、いいものを作ってる人が、必ずしもITやマーケティングの知識があるわけではないし、商売の知識が豊富なわけでもない。そういった人たちがまだオンラインで販売するところまで出てこれていない現状がある。
その人たちに使ってもらうために、誰でも使えるシンプルなネットショッピングの仕組みとマーケティングの仕組み、できるだけ利益が残る旨味を追求していったら、僕らの取り分がゼロになった。
逆に僕らが得られるものはトラフィック。店舗にとっては物が売れればトラフィックは重要でなかったりするが、僕らはそれをかき集めるとお金に変えられる。そっちの方を僕らは頂いて、物が売れたものに関しては、販売者に持っていてってもらうという住み分けでやれるだろうと思った。そうすると面白い商品が集まり、海外の人からも面白い商品が集まったサイトになっていける。」(尼口氏)
今後は海外展開による越境ECの支援を見据えており、多言語展開を前提としてシステムも構築している。

収益化は広告モデルやプロモーション費用など

気になる「Cart」自体の収益化という面に関しては、メディアとしての力がついてきた段階で広告による収益を見込んでいるほか、プロモーション商品の販売を検討しているとのことだ。
「決済手数料などが無料になることにより、浮いた分を商品の価格に還元してもらっても良いと考えているが、売上を拡大させたい店舗に対してプロモーション商品をオプションとして販売していくことを考えている。」(尼口氏)
「Cart」は、従来からECサイトへの集客を促進するショッピングマガジンとして運営されてきており、自分好みのキュレーターやショップをフォローすることで、自分のタイムラインに関連する情報が集まってくる仕組みを提供している。
ショップに対しては、モデルやタレントをはじめとする有名人に自社商品をアピールできる「オンラインキャラバン機能」も提供しており、プロモーション面でも独自の枠組みを持っている。
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「オンラインキャラバン」は有料サービスとして今後も提供されるが、無料で利用できるプロモーション機能も今後提供していくという。
「ショップを開店したものの、お客さんを集めるところまでが一つの流れになっていないので、集客で苦労する面がある。Cartでは、簡単にお客さん集めできる機能も用意し、お金を払わなくてもプロモーションができるようにしていく」(尼口氏)
現段階で用意されているのは、Cart内の特集や自社で運営するソーシャルメディアにおけるプロモーションをサポートする機能だ。例えば「オープニングセールをしよう」「注目の商品をシェアしよう」といったメニューが用意されており、商品を選んでシェアするだけで「Cart」内での露出や、最適な文章でのシェアなどが行えるというものだ。今後は「バレンタインキャンペーンをやろう」など、様々なプロモーションも用意していく予定だ。
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また、有名人に商品を紹介してシェアしてもらえた場合に、そこからどの程度売れたのかまではいままで把握できなかったが、カート機能がついたことにより、今後はこのあたりも把握できるようにしていくとのことだ。今後は一般人のキュレーターも生み出していきたい考えも持っている。
「有名人だけでなく、一般ユーザーの中で面白いセレクトをできる人たちをキュレーターとしてフィーチャーしていきたい」(尼口氏)
売上に確実につながる実績を持ったCart発の著名キュレーターもこれから誕生するかもしれない。このキュレーションの仕組みはカート機能の強化により魅力的に進化することになりそうだ。
出店の敷居が下がればいいものが埋もれてしまうのではないか。という懸念があるが、Cartはそこをキュレーションを強化することにより、来訪客にいいものがしっかりと露出されていく仕組みを作っていく。
同社は「世界中のあらゆるものを簡単に買えるようにする」「生活の質が向上するような新しい発見を提供する」というビジョンを掲げる。そのような世界観を実現するための今回のショッピングモール化。今後の展開にも期待したい。


Cart 出店者向け
https://cart.st/biz

イイヅカ アキラ
ST編集長。Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。

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