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継続率92%の物流アウトソーシング「オープンロジ」が2.1億円を調達

物流のアウトソージングを小規模な事業者から可能にするサービス「openlogi(オープンロジ)」を展開するオープンロジは、IMJ Investment Partners、SMBCベンチャーキャピタル、インフィニティ・ベンチャーズLLPなどから、総額2億1千万円の資金調達を実施したことを発表した。
今回調達したの資金は、中核を担う人材の採用や経営基盤の強化、海外への事業展開に充てる。
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1個単位から通常の宅急便より安い配送料でサービスを提供

「openlogi(オープンロジ)」は、「物流をもっと簡単・シンプルに」をコンセプトに、入庫から保管、梱包・配送までの物流を一括でアウトソーシングできるサービス。物流倉庫会社をネットワーク化し、非稼働時間・遊休スペースを活用することで、低価格なサービスを実現している。
初期費用・月額固定費は不要で、スペース単位での契約ではなく、個数での契約となるのが特徴。シンプルな業界最安値水準の料金体系でサービスを提供するだけでなく、使いやすいサービスを追及していることも特徴だ。
価格の面を確認すると、60サイズの荷物で比較した場合、通常宅急便は756円から距離によって1,188円になるところ、オープンロジでは450円の一律料金で提供している。配送料だけを見ても割安な価格設定となっているが、これに加えて梱包作業や資材費なども含んだ料金となるため、配送料だけでなくリソースの削減にもつながる。

継続率は92%という極めて高い数値

実数の公表はないものの、利用者数と売上は右肩上がりで順調に増加しており、継続率は92%という極めて高い数値となっている。サービス開始から1年半強が経過するが、契約したユーザーの期待に応えるサービスを提供しているからこその数値といえるだろう。
「デマンド側(物流業務を発注したいユーザー)からは、費用のわかりやすさ、使い勝手のよさ、小ロットから対応いただける柔軟性や、自社システムとのデータ連携のしやすさなどを評価いただています。」(オープンロジ代表の伊藤氏)
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オープンロジ代表の伊藤秀嗣氏

ここで一つ具体的な事例を紹介しよう。化粧品の実店舗とECサイトを運営し、月間200個程度の配送を行っていた事業者の例では、6割ぐらいのコスト削減を実現したという。これまでは近くに倉庫を借りて、アルバイトを派遣して在庫管理・出荷作業を行っていた。オープンロジに切り替えることにより、倉庫費用、人件費、管理費・教育コストを削減することができただけでなく、出荷数の上限の撤廃や出荷時の人為的ミスの解消にもつながったという。
オープンロジを使い始めた事業者のうち8割程度がいままで自分たちで物流業務を行っていた事業者。これまでは、物流をアウトソーシングするという発想がなく、自分たちでやらねばいけないことという考えがあったようだ。
「アウトソーシングを簡単にできることがまだまだ伝わっていません。あまりにも皆さんが自分たちでやるものと思っていて、外注しようという発想が出てこない方が多いのが現状です。我々にアウトソーシングしていただくことで、事業者に売上を上げるための施策に集中していただきたいと考えています。」(伊藤氏)
コスト削減だけでなく、品質の向上にもつながるという意味では、検討するべき選択肢といって良いだろう。
物流の付帯業務にも柔軟に対応しており、「検品で時計の針が動いているか確認してほしい」「Tシャツを畳んでほしい」「規定の袋に入れてほしい」「サイズ測ってほしい」などにも応えてきたという。AmazonのFBAへの納品対応も代行しており、物流における基点としての役割も担っている。独自の悩みを抱えている事業者の方も1度相談してみると良いかもしれない。

海外の事業者が国内に物流拠点を持てる

興味深い事例としては、北海道や沖縄などの事業者のコスト削減にも大いに活かされている点だ。自社から発送すると配送料金がどうしても高くなってしまうところ、オープンロジに一括で入庫しておけば、関東からの発送を実現することができ、コスト削減につながるだけでなく、配送スピードの向上も実現できる。
これは国内だけでなく、海外の事業者にとっても言えることで、アメリカやインドに拠点を持つ事業者が日本の配送拠点としてオープンロジを利用している例もある。現在は日本語のみの提供のため、日本人の利用に限られているが、これが多言語展開となれば海外の商品を日本で販売しやすい環境が整えられる。
一方で、オープンロジはすでに海外発送にも対応しているが、あくまでこれは日本からの発送。今後は東南アジア、中国、香港、サンフランシスコなどに拠点となる倉庫を開設し、越境ECの支援も実現していく。
ちなみに、現在は所沢を中心に何拠点か倉庫がネットワーク化されているが、来月に千葉にも一拠点設ける予定。当面は関東で賃料が安いエリアでの倉庫を増やし、その他のエリアでも遊休スペースのある倉庫とのネットワークを増やしていく。
現状は常温倉庫のみの対応だが、低温倉庫や医療医薬品の対応など、取り扱える商品の拡充も進める。
オムニチャネル化を支援するサービスも展開する。実店舗をやりながらECを運営している事業者に対して、店頭在庫と倉庫にある在庫の一元管理や、店頭で注文を受け付けて、倉庫から発送する仕組みの運用や管理を簡単に行えるアプリも提供していく。
今後もEC業界にとって物流の需要はますます高まることが予想されるが、小規模からの物流を一手に引き受けるオープンロジは業界の拡大において大きな役割を担うことになるのかもしれない。今後の展開も期待したい。


openlogi(オープンロジ)
https://openlogi.com/

イイヅカ アキラ
ST編集長。Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。

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