新しいジュエリーブランドのスタイルを築くブランドになるかもしれない。Creative Smashは、スタートアップジュエリーブランド「ZAZAZU(ザーザーズー)」のオンラインストアをベータ版としてオープンした。
第1弾としてカスタマイズ3Dプリントジュエリーの限定販売を開始した。
テクノロジーを積極的に取り入れる新しいジュエリーブランド
「ZAZAZU」は、積極的にテクノロジーを取り入れて展開する新しいスタイルのジュエリーブランドだ。第1弾として3Dプリンターを活用したカスタマイズジュエリーを展開。ブランド名には「恋のときめき」という意味が込められており、新しいジュエリーと出会えるときめきがある場所にしていくことを目指す。
ベータ版としてまずは4種類の指輪と1種類のイヤリングを各商品限定数で販売開始。すべてのアイテムで素材、サイズを選択して注文できるほか、3種類の指輪は刻まれる文字を指定することができる。
最初のラインナップは日常で身につけやすいシンプルなデザインを揃えた。今後はデザインのバリエーションを定期的に拡充していき、カテゴリにネックレスを追加する予定だ。
いまのところ新作は毎週投入し、そちらも限定販売する計画とのこと。
Creative Smash代表の川島氏は「最初は自由度が高いと、自分がどういうものが欲しいかというところで迷ってしまうと思ったので、直感的に選んで自分好みのものが購入できるようミニマムな形でスタートしています。」とコメント。
最初のラインナップはAからZのイニシャルを選択できるものだが、今後6文字程度までの好きなテキストを入れることができる指輪やネックレスを予定しているほか、将来的にはIllustratorで描いたイラストを配置してオーダーできるオーダーメイドサービスの提供も検討しているとのことだ。
自由度が高い3Dプリンターでの表現
3Dプリンターの強みは、型を作らずに出力できてしまうため、1点1点異なるデザインで受注できる点がまずあげられる。さらに、手で加工するには困難な複雑な造形も1度の出力で実現できるため自由度も高い。
メインビジュアルとして使われたアクセサリーは、立方体が幾重にも重なったデザインだが、これも1度の出力で実現しているものだ。(こちらはまだ販売はしていない)
指輪の素材は金属のみを採用しているが、イヤリングではナイロンを中心に考えているとのことだ。素材が軽いだけでなく、10色程度のカラーを展開できるのでジュエリーに適していることが理由だ。実際上記のイヤリングはかなり軽いものだった。
その他の利点として、サイズの選択肢を多く用意できる点もあるという。欲しい指輪を見つけても自分に合うサイズがなかったり、ペアリングとしてはサイズがなかったりするケースがあるが、3Dプリンターであれば1号刻みや0.5号刻みで幅広いサイズを用意することができる。
「ZAZAZU」では、3号から14号まで1号刻みで選択できるようにした。
指輪の価格は5,000円からで、ナイロン製のイヤリングは2,500円で販売する。興味を持った人が手を出しやすい価格設定にこだわったそうだ。
川島氏「オリジナルのジュエリーを作る場合は、エンゲージやマリッジリングに限られてしまうことが多いと思うのですが、それよりももうちょっと手軽で、リーズナブルに提供していきたいと考えています。」
3Dプリントサービスを何社か利用して製造しており、材料は普通のジュエリーと同じものを使用している。
注文から商品を届けるまでは、最初は1ヶ月ほどを想定しているが、ナイロン製のアイテムの場合は、その半分程度の期間で作れる見込みのようだ。
カスタマイズ可能なアイテムは、3Dプリンターだけに限らずデジタルファブリケーション施設を活用して作成できるものを展開していく予定だ。
デザイナーがコレクションを発表できる場に
デザインはすべて代表の川島氏が手がけているという。「自分が使ってみたいという感覚を大切にしようと思った」ことが理由とのことだ。
今後は、ジュエリーデザイナーやファッション系アイテムのデザイナーと連携し、コレクションを発表できる場にしていきたと考えている。
川島氏「ジュエリーブランドなので、最初はある程度方向性をディレクションしながら、テイストが合う方とか、方向性をご理解いただける方とやっていきたいと考えています。」
この日川島氏が身につけていたイヤリングも、ナイロン製のオリジナルデザイン。複雑な造形でもコストを気にすることなく、展開することができる。
リスクなく創造的なデザインが展開できるのは、デザイナーにとってはこの上ない環境と言えるだろう。
ファストファッションジュエリーとして発展させたい
アメリカではファストファッションジュエリーという新たなカテゴリで急成長するブランドも登場している。「ZAZAZU」のことを知った時はこのキーワードが真っ先に浮かんだが、やはりその路線が念頭にあるようだ。
川島氏「今後ファストファッションジュエリーブランドに発展させたいと思っています。3Dプリンターで作れば、商品点数はデータがあるだけ無限に展開できるので、回転率が高くて常に新しいデザインがある場所を作りやすいですよね。在庫を抱える必要もないので、仕入れのリスクもありません。ある程度の規模になれば、よく見られているデザインとか離脱してるデザインを振り分けることができるので、製品を作る前にマーケティングが可能になります。『ZAZAZU』は、ベータ版の時点では商品点数が少ないですが、今後増えて行った時に見られてないものを排除して、買われているものは場合によって量産や横展開していきたいと考えています。」
投入したデザインが例え1点も売れなかったとしても、損失がほとんどないのはこれまでの概念を覆すようなスタイルとなるだろう。
新しいデザインを投入して、どんどん商品を入れ替えていくという、ファストファッションジュエリーの形を実現できる環境は整っているように感じた。「カスタマイズサービスではなくブランドとして立ち上げた」という狙いも、新しい分野を切り開く意思の表れといえる。
川島氏は「週に1回来ても、常に新しいデザインが並んでいる状態にすることを最初の目標にしています。ファストファッションジュエリーのような形で、どんどん新しいジュエリーを生み出していく場所にしていきたいと考えています。」
新しいジュエリーブランドのスタイルを構築できるのか、今後の展開が楽しみだ。
ZAZAZU(ザーザーズー)
https://za-za-zu.com/