動画コマース時代を切り開く存在となるかも知れない。ファッション動画マガジン「MINE(マイン)」を手がける3ミニッツが、ファッション動画コマースアプリ「GINI(ジーニー)」を4月28日に公開した。
iPhoneとAndroidアプリの提供を開始している。
動画コマース時代を切り開く存在となるか
「今年は動画コマースが来る。」数年前から言われ続けていることだが、ここまでそれを確信させるようなサービスは生まれていないのが現状だ。しかし、そんな状況をついに打破しうるサービスがようやく登場したのかもしれない。
3ミニッツが提供を開始する「GINI」には、そんなことを期待させる要素が揃っているように思えたのだ。
「GINI」は、コーディネート動画を視聴しながらショッピングを楽しめるファッション動画コマースアプリだ。メインターゲットは25歳から35歳の女性を想定している。
スタート時は10ブランドを取り扱い、型数で1,000種類のアイテムを販売。今後ブランドを拡充していく予定で、夏頃には100ブランドが参画する予定だ。ブランドから商品を預かる委託販売の形で扱い、発送も「GINI」が行う。
コーディネート動画は販売するすべてのアイテムに用意し、長さは15秒から1分程度を想定している。この辺りはリリース後反応を見て調整していく方針だ。スマートフォンの視聴で最適な縦動画を採用した。
モデルにはInstagramなどで人気のインフルエンサーを起用。インタグラマーがオリジナルブランドを立ち上げ、「GINI」だけでしか購入できないアイテムも展開する。
動画は自社で制作、インフルエンサーが拡散
成功を期待させる要素。それは同社がこれまでに培ったノウハウにある。
3ミニッツは、ファッション動画マガジン「MINE」を2015年9月に正式にリリースし、現在では月間100万UUを超えるサービスへと成長している。こちらも25〜35歳がメインユーザーで9割が女性だ。
現在は社内で毎日数百本の動画を撮影して編集まで行っている。数十秒から数分程度の動画を効率良く生み出していくノウハウがこの1年で蓄積されているのだ。
「MINE」は、ファッション雑誌で見るようなコンテンツをイメージとして展開しており、どのような動画が視聴されやすいのか、文字のサイズを大きめにする、Facebookでシェアされた場合の見栄えなど、様々なことを考慮して動画が制作されている。
「ELLE」や「Dior」が公式チャンネルを開設しているが、驚いたのはこれらの動画も3ミニッツが手がけているというのだ。これはクオリティに関して、ブランドから信頼されている証とも言えるだろう。
もう一つの強みはインフルエンサーの存在
同社の強みは動画だけではない。もう一つ展開している事業「INSTAGRAMMER.jp」によるインフルエンサーのネットワークを持つのも強みだ。
この事業ではインフルエンサーのマネジメントを行っており、現在は1,400名ほどが所属している。
「デジタル上で活躍している人たちをネットワークして、それをビジネスに変えていくことをしたかった。すごい才能を持った人はたくさんいるのに、マスメディアの露出によって左右されてしまう現状がある。デジタル上でうまく自己発信して活躍できる場を作りたいと考えた。」と3ミニッツ代表の宮地氏は語る。
社内には1日中Instagramをチェックするメンバーおり、センスのあるインスタグラマーの発掘を行っているが、最近では所属を希望する問い合わせも増えてきているという。
もともと人気があった人だけでなく、人気を集めるためのアドバイスにより、インフルエンサーを次々と生み出している格好で、実際に社員にも10万を超えるフォロワーを持つインフルエンサーも生まれている。
「GINI」では、「MINE」の動画編集チームをそのまま投入し、モデルにはインフルエンサーを起用。コンテンツ力と集客力を兼ね揃えているのが同社の強みとなる。
やはり動画を量産できる体制があるのは強いが、気になるのはアクセスするたびに新しい動画が公開されているような状況が作り出せるのかどうかだ。
これに関しては、同じアイテムで別の組み合わせのコーディネートを作ることにより、次々と新しい動画を展開していくため、常に新鮮なコンテンツが楽しめるようになっている。組み合わせによって、そのアイテムの表情は全く変わるため、ユーザー自身にも新しい発見がもたらされるというわけだ。数百本、数千本レベルで提供していくイメージだ。
すでに月商は1.5億、3年でZOZO超えを目指す
3ミニッツは2014年9月に設立された企業で、2015年2月にLINEなどから1億円、2015年12月にはセプテーニなどから約3億円を調達している。現在は75名ほどの体制で、すでに月商は1.5億円。事業の黒字化も達成しているとのことだ。
宮地氏に「GINI」の今後の目標を伺ったところ「ZOZOTOWN超えを目指します。3という数字にこだわって、3年で超えたいと思います。」と力強いコメントをもらうことができた。
ファッション分野において「ZOZOTOWN」は一人勝ちのような状況だ。そこに動画というアプローチで新しい風を吹かせようというわけだ。
動画はどんどん身近な存在になっており、動画と静止画の境界線も薄れつつあることを感じている人も多いのだろう。
「ノウハウが貯まってきたの、ここで勝負しようと思った」と語る宮地氏。期は熟しているように感じるが、このタイミングが早いのかどうかは今後の結果で示されることになる。
「GINI」が人気アプリになるためには、様々な要素をクリアしていく必要があると思うが、十分なポテンシャルはあるのではないだろうか。今後の展開を楽しみにしたい。
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