商品検索サイト「ショッピングサーチ.jp」を運営するコマースリンク株式会社は、リアル店舗の商品や在庫状況をチェックできるスマートフォンアプリ「monococo(モノココ)」の提供を11月19日から開始した。iPhoneとAndroid向けにそれぞれ提供する。
まずは首都圏(1都3県)を対象にサービスを開始し、2016年度中に全国展開する予定だ。
実店舗で販売されている商品情報をチェック
「モノココ」は、実店舗で販売されている商品の新着情報を、複数の店舗から横断的にチェックしたり比較検討したりすることができるサービスだ。
気になった商品を見つけたら、販売している店舗を確認できるだけでなく、店頭の在庫状況やお店への経路もチェックすることができる。公式ECサイトで購入することも可能だ。
20〜30代の「ファッション好きな一般女子」を中心に、10代〜40代の男女をターゲットとして展開する。
サービス開始時点で、ファッションカテゴリの40ブランド、首都圏(1都3県)の400店舗の情報が掲載されている。掲載する情報の必須項目としては「商品情報」と「店舗情報」のみとしているが、現在は店頭在庫情報を持つブランドの掲載を優先的に進めているようで、大部分のブランドで店頭在庫情報も確認できるようになっている。
2015年度中には、対象エリアを全国、カテゴリを雑貨・インテリア・コスメ・フードへと拡大し、掲載ブランドを100にすることを目指す。
世の中で売られているモノを探せるようにする
コマースリンクの代表である永山氏は、創業時から「世の中で売られているモノを探せるようにしたい」という想いがあったという。
主力事業として運営する「ショッピングサーチ.jp」では、ネットショップの商品を横断して検索できるサービスを実現したが、「モノココ」ではリアル店舗で販売している商品も検索できるようにすることを狙う。
掲載する対象は実店舗を展開するブランドの商品を中心としており、「商品情報」「店頭在庫情報」「コーディネート情報」「店舗情報」といった情報を掲載している。
これらの情報は、ECサイトやブランドサイトなどに掲載されている情報を、ロボットのクローリング(自動収集)により取得。もちろん取得先に許可を得たうえで行っているものだが、情報提供者側に新たな負担を強いることなく情報収集を実現している。
最近では、店頭在庫をECサイト上で確認できるケースが増えてきた。コマースリンクがファッションビルのテナント953ブランド(全1,200ブランド中)を対象に行った調査では、店頭在庫情報を持つブランドは16%の割合だったという。思ったよりも高い割合に感じたが、こういった環境が整ったからこそ「モノココ」が実現できたということだろう。この数値は今後も飛躍的に伸びることが期待できる。
店舗からの情報発信を可能にしインバウンド需要も取り込んでいく
「消費者からすればネットで買うのも実店舗で買うのも同じなので、それをそのまま実現したかった」という永山氏は、ネットでもリアルでも欲しいモノを欲しい時に買えるスタンダードを作ることを目指している。
「モノココ」は実店舗で扱っている商品を横断的にチェックできるのが最大の特徴ではあるが、気になった商品をそのまま公式ECサイトで購入することも可能だ。購入する方法はその時々で選べるようにしていくというわけだ。
また、ブランドに対しても、「モノココ」を通じて、オンライン・オフラインの区別なくシームレスに消費者の行動を統計的に把握できるようにしていく方針で。2016年の春頃のアップデートを目処に、管理画面で自由にデータを閲覧できる環境を提供する予定だ。
「お店の近くにいる人にプッシュ通知」「お店をフォローしている人にセール情報を送る」といったことも可能にしていく。
これは更に先の展開となるが、来店検知や位置情報を活用したサービスや利用者の行動に基づいた接客サービスの提供するための機能、インバンド需要を取り込むための機能の提供も構想に入っている。
位置情報サービスや接客サービスに関しては、利用者の行動を把握したうえで適切なユーザー体験を提供していくものを想定しており、まだそれを実現するための手段を探っている状況だ。
インバンドに関しては、訪日外国人観光客向けのアプリを別途提供する想定で、多言語展開するだけでなく、「免税店表示」「外国語がわかるスタッフがいる」などの必要な情報を付加して提供する予定だ。
リアルとネットをシームレスにつなげ、自然な形で提供する
こういったサービスは、「店舗にいかに送客したか」などの成果報酬モデルとなっているケースが多いが、「モノココ」では、店舗に対してデータを閲覧できる環境を提供できるようになった段階での「月額固定料金」による課金モデルを想定しているという。
ネットショップにおける成果は取りやすいが、リアル店舗になるとそれが格段に難しくなる。成果を計測するための仕組みを構築する必要があり、それによりユーザーや店舗側に新たな手間を強いる必要が出てくることも考えられる。総合的な判断により成果報酬モデルを捨てる決断に云った。
永山氏は「ユーザーはシームレスにどこでも買い物ができるということを、自然な形で提供したい。自分の欲しいものを、自分の都合に合わせてお店やネットを選んで、どこでも買い物ができることを実現していきたい。」とコメントしている。
ユーザーファーストを実現しながら、新たなスタンダードを確立できるのか、今後がとても楽しなサービスだ。
「monococo(モノココ)」
https://monococo.jp/