株式会社千趣会は、ワタベウェディング株式会社と千趣会の完全子会社である株式会社ディアーズ・ブレインの3社間において資本業務提携することを発表した。
千趣会は、ワタベウェディングの株式を公開買い付け(TOB)により34%を上限に取得する予定。34%に満たない場合は、第三者割当増資で取得する。これによりワタベウェディングは千趣会の持分法適用関連会社となる。
公開買付け価格は1株あたり700円を予定しており、買付予定数の336万7,900株を全て買い取った場合は23億5,753円となる。
ハウスウェディング事業を展開するディアーズ・ブレインを2008年に千趣会が子会社化
千趣会は2008年にウェディング事業を展開するディアーズ・ブレインを完全子会社化しており、新婦や列席者へのカタログ配布による「ベルメゾン」への送客や引き出物用ギフトカタログの商品力強化などで、利用客の拡大を図ってきた。
ディアーズ・ブレインはハウスウェディング事業を主軸としながら、ドレス事業やレストラン事業にも進出し、現在は全国で20店舗のゲストハウスを運営するまでに成長。2014年度の売上高は128億円となった。
多角化を進めたものの、少子高齢化による国内市場の縮小により二期連続の赤字となったワタベウェディング
一方のワタベウェディングは1953年に創業した61年の歴史を持つ企業。現在はハワイを始めとしたリゾートウェディングが主力事業で、累計60万組のリゾート挙式の実績がある。1993年に上海にウェディングドレス製造工場(2005年にベトナムに移管)、2003年にアルバム製造工場を設立し、ウェディングドレスや写真アルバムを内製化。2004年には、株式会社目黒雅叙園を子会社化し、国内ウェディングに本格進出している。2008年にはメルパルク株式会社を設立し、ホテル事業に進出。2014年には、ハウスウェディング事業に特化した株式会社クレッシェンドプロデュースも設立している。
しかし、少子高齢化による婚姻届出組数の減少や結婚式を挙げないナシ婚層拡大による挙式実施者の減少に加え、他社の進出による競争の激化により減収局面が続いており、ワタベウェディングの2014年3月期の連結売上高は447億1,000万円、連結純損失は35億2,400円、2015年3月期の連結総売上高は442億1,400万円、連結純損失は18億5,000万円と2期連続で赤字となっていた。
このような状況の中、総合的にウェディングスタイルを提供できる業態への変容が必要と判断し、業務提携先を探していた。
総合力の強化を狙った資本業務提携
ワタベウェディングは2013年頃からディアーズ・ブレインのアルバム製造を受託しており、そこから話し合いを続けてきたという。両社は写真アルバムなどのコンテンツ分野で共同事業を展開したり、目黒雅叙園において事業連携するなどを行ってきており、その流れの中で今回の資本業務提携するに至っている。
リゾートウェディングを主軸とするワタベウェディングと、ハウスウェディングを主軸とするディアーズ・ブレインが相互の経営資源を有効活用することにより、幅広い挙式の提案が可能になると結論付けたことに加え、千趣会が強みとする商品企画・開発力を活かしたウェディング関連商品の商品開発や、新郎新婦の新生活向けに必要となるサービス開発、千趣会の顧客基盤を活かした営業支援などで業務をより一層推進できると判断している。
両社は、ブライダル業界と関連領域において複数の業態を有するコングロマリット化を実現し、規模の拡大と収益向上を目指す。
提携の内容は以下の通り。
- 運営ノウハウ等のアライアンス構築のための相互協力
- ウェディング関連の商品、サービスの拡充、共同開発に向けた相互協力
- 集客、製造機能のプラットフォーム構築のための相互協力
- 生活総合領域の顧客開拓のための相互協力
- 新郎新婦向けの新生活ニーズに応える生活総合領域のマーケティング、販促及び商品・サービスの開発における相互協力
- 海外展開の本格化を見据えた相互協力
- 上記を推進するため、業務提携推進委員会を設置
ワタベウェディング
http://www.watabe-wedding.co.jp/