夢展望、ライザップなどを展開する健康コーポレーションの子会社に ー 業績悪化により資金調達が急務に

夢展望は2月12日、ライザップを子会社に持つ健康コーポレーション株式会社に対して第三者割当増資を実施すると発表した。健康コーポレーションは、3月31日に予定されている第三者割当増資の払込により、株式73.54%を取得し、夢展望を子会社化する予定。取得金額は1株あたり192円(前日終値は606円)で、総額7億4,880万円の払込となる。
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競争激化により9億円超の赤字に転落、新規ブランドも不発

夢展望は2013年7月に東証マザーズに上場したが、2013年9月期の純利益が約7,414万だったのに対し、2014年9月期は9億845万円の赤字に転落していた。
要因としては、同社が属するカテゴリーである低価格帯アパレル小売事業において、大型ベーシックブランドや外資系ファストファッションの市場規模拡大に伴い、競争が激化。加えて、円安による原材料価格の高騰により、2014年9月期に発表した数字では売上原価率が約10%増となる60.7%まで増加していた。
同社は持続的成長のために新規ブランドを2014年夏から相次いで投入、7月に「CheLic(チェリック)」、8月に「LN-K(ルナク)」、9月に「Rinamour(リナムール)」を展開したが、新ブランドがうまく浸透せず、想定を大きく下回る結果となった。

主要ブランドもトレンドから乖離が生じる

夢展望の既存顧客層をターゲットとする主要ブランドに関しても、ヤングレディースアパレルのトレンドが大きく変化し、ブランドイメージとトレンドとの間に乖離が生じたことに加え、円安による仕入原価の高騰を価格に反映したことも影響し、売上げが想定を大きく下回る結果になった。
さらに、新旧ブランド商品の販売不振により生じた過剰在庫を消化するために、セール販売を多く実施したことで、売れ残り在庫商品の評価損失を計上し、売上総利益率も大きく低下させた。
2015年9月期第1四半期においても引き続きトレンドの変化による売上低迷から脱しておらず、在庫過剰な状況が継続しており、売上総利益率が低い水準が続いているという。
同社は、これらの状況をうけ、役員報酬の削減、ブランドの統廃合に伴うリストラクチャリングを実行、希望退職者の募集による大幅な人件費の削減、事業所の閉鎖、在庫圧縮による倉庫費用の削減等、各種経営合理化案を計画している。

キャッシュ・フローの確保が急務に

ブランドイメージを刷新するためのプロモーションブランドイメージの刷新による新規顧客開拓を行える体制をより早期に確立することと、事業継続性の確保や業務の安定的運営のためのキャッシュ・フローを確保することが急務となり、社債発行、公募増資等の資金調達方法を検討したものの、株価が下落を続けたまま回復することなく推移している状況から、これらの方法による資金調達は困難と考え、第三者割当増資による資金調達を決断するに至った。

夢展望の刷新による業績回復を目指す

今回の子会社化により、健康コーポレーションはアパレル事業におけるEC販売の進展、夢展望はブランドイメージの刷新による業績回復、商材の拡大による新たな売上機会の創出をはかる。具体的には下記の3点をあげている。

  1. 健康コーポレーションの商材を夢展望の会員に販売する
  2. 夢展望のブランドイメージを刷新するために、健康コーポレーションの強みであるマス広告を活用したプロモーションの実施を支援すること
  3. 商品企画開発、写真撮影、ECサイト運営まで一貫して行ってきた、夢展望のEC運営ノウハウを健康コーポレーションに提供する

これらの方針のもと、両社は商品等の共同開発及び共同仕入、店舗開発情報の共有、広告宣伝・販促活動、人材の相互交流などでの各種施策についての協業を検討していく。
健康コーポレーションはマタニティ通販の「エンジェリーベ」や、婦人服を扱う「馬里邑」などを展開するほか、アパレル事業の成長戦略として、RIZAPで理想の体験を目指してトレーニングする利用客に、理想の体型に適した服を提案するなどを計画している。

イイヅカ アキラ
ST編集長。Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。

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