株式会社アイルは、ネットショップのバックヤード運用に携わる人を対象としたカンファレンス「バックヤード カンファレンス 2015」を2月3日に東京で開催した。
アイルは、複数のネットショップにおける商品・在庫・受注・発注・仕入を一元管理できるASPサービス「CROSS MALL」を提供する企業。サービスを利用する企業を対象に、ネットショップのバックヤードに携わる人を主役とした初のイベントとして「バックヤード カンファレンス 2015」を開催した。この日は96社から154名が参加した。
特別公演
特別公演として日本経済新聞社 編集委員の大西康之氏が登壇。講演テーマは「サービスを支える力」で、同氏が取材した楽天の三木谷氏やJALの稲盛氏のエピソードを交えながら、バックヤードも含めて一人ひとりが考え、工夫して動くことの重要性などを語った。
バックヤードお役立ち情報
続いて、「バックヤードお役立ち情報」として、バックヤードの役に立つ「CROSS MALL」と連携する支援サービスを提供する3社がプレゼン。ランサーズ株式会社が提供するクラウドソーシングサービス「ランサーズ」や、ロジザード株式会社が提供するクラウド型WMS「ロジザードゼロ」、株式会社ラクスが提供する「メールディーラー」がそれぞれサービスを紹介した。
BACKYARD AWARD 2014を発表
バックヤードアワードは、ECショップのサービスを支えるバックヤードの人に贈られる賞で、受注処理や商品管理、顧客対応等のバックヤード業務において、効率化している・創意工夫をしている運用に対して表彰するもの。評価ポイントとともに受賞した企業を紹介していこう。
グランプリ:株式会社ピー・ビー・アイ
グランプリに輝いたのはメンズファッション通販サイト「SILVER BULLET(シルバーバレット)」などを展開する株式会社ピー・ビー・アイ。
評価のポイント
- 新規出品の嵐
自社の特徴として大量の新規出品が挙げられる。2014年は特に新規出品が増え、売上が増加。複製機能などを活用し、今は効率よくできている。 - 縦軸と横軸
縦軸を店舗、横軸を商品管理・ウェブ制作・カスタマーチームとしている。一番人数が多いのがウェブ制作。 - 縁の下の力持ち
15店舗の注文処理を4名のカスタマーチームで回している。2014年は前年比150%の注文量だったが、増員せず乗り切った。店舗によって売り方や戦略も違っていて難しいが、チームワークを大事にしてコミュニケーションをとるようにしている。
入賞:株式会社ヤッホーブルーイング
クラフトビールを販売する「よなよなの里」を展開する株式会社ヤッホーブルーイング。
評価のポイント
年間で一番需要が高いのが「父の日」。通常時の10倍以上の注文もCROSS MALLを使って効率化。
ギフト特有のフリーメッセージを受けている。大量のメッセージカードに対応するため、送り状とメッセージカードを一体化するなどオリジナルの仕様にしている。
ギフト出荷は提携倉庫からだが、注文備考にギフトメッセージを載せ、倉庫側がミスなく処理できるように工夫している。
入賞:有限会社クリエイティブ・アライ
「アスカショップ」を展開する有限会社クリエイティブ・アライ。
評価のポイント
2サイトそれぞれの物流拠点も2つに分かれている。CROSS MALL上で商品コードで振り分け、付箋でどちらの商品か管理できている。
在庫をかかえずにCROSS MALLで受注からメーカーへの発注まで自動化。商品が届いたらすぐ発送。
メーカーに在庫の有る無しをつけてもらい、在庫情報が最新のものにできるよう工夫。
入賞:株式会社マルヒサ
着物や浴衣を販売する「きもの京小町」を展開する株式会社マルヒサ。
評価のポイント
「着物デビューセット」では注文別にスタッフがコーディネイトをして発送。個別でのメールのやりとりでお客様の要望を汲み取るように工夫している。
フランスやアメリカなどの海外サイトに4店舗出店し、新たなチャレンジをしている。言語対応など大変だが、スタッフで対応。今後は在庫連動ができるようにしていきたい。
入賞:有限会社ムーブ
スポーツ用品を販売する「MOVE」を展開する有限会社ムーブ。
評価のポイント
CROSS MALL APIを使って実店舗POSを連携、実店舗とネットショップの在庫連携を実現。
SKU28万点を取り扱う上で「どこに何があるのか?」を把握することが大事。ロジザード連携で、倉庫・実店舗2店舗・メーカー用仮想倉庫の4倉庫を管理。
基本は提携倉庫から出荷だが、加工・取り付け商品の注文は店舗から出荷。混在する注文処理も滞りなくできるフローを確立。
入賞:株式会社夢・八天
磁気ネックレスを販売する「ほぐしや本舗」を展開する株式会社夢・八天。
評価のポイント
「CROSS MALL」上で発注点を設定することで発注書がすぐだせるように。昔は数時間かかっていたのが、今は5秒ででるようになった。
入庫予定表を前日にだしておくことで翌日入庫した商品をすぐ出荷できるようになった(当日入荷・当日出荷)。
新規とリピーターをリピートマークで区別。フォローメールにより、満足度向上につながっている。発注効率向上で空いた時間を顧客フォローへ。
懇親会では豪華ゲストによるトークセッション
懇親会では、豪華ゲストを迎え、バックヤードをテーマにしたトークセッションが行われた。モデレーターとして株式会社ピー・ビー・アイ 代表取締役 高木孝氏、パネリストに株式会社ヤッホーブルーイング 代表取締役 井手直行氏、テラオ株式会社 EC部マネージャー 佐々木伸一氏、株式会社ミン 代表取締役 三宅幸子氏、株式会社イマリ 代表取締役 久保雅也氏を迎え、「バックヤードの重要性をどのように考えられていますか?」「人の採用・育成・評価をどのようにしていますか?」というテーマに対して、様々な経験談が披露された。
バックヤードを主役として初めて開催された「バックヤード カンファレンス」、会場の雰囲気がなんとなく和気あいあいとしていたことが、このイベントの重要性を物語っているのかもしれない。
バックヤード カンファレンス 2015
http://cross-mall.jp/backyard_conference/