INTERVIEW

【インタビュー】「楽天チェックほどわかりやすいO2Oサービスはない」スポットライト代表 柴田陽氏

店舗に訪れるだけで楽天のポイントが貯まる「楽天チェック」が4月2日よりサービスを開始した。約9,000万人の楽天会員を実店舗に送客できるサービスとして注目を集めている。
関連記事:店舗に訪れるだけで楽天のポイントが貯まる「楽天チェック」提供開始
ポイントサービスは本来「何かを購入した場合の1%がポイントとして付与される」といった形一般的だが、「楽天チェック」は店舗に訪問してチェックインするだけで、ポイントがもらえるシステムとなっており、ユーザーの店舗への来店を促進させることができる点がこのサービスの最大の特徴だ。
今回は、楽天チェックを提供する株式会社スポットライト代表の柴田陽氏にリリース直前にお話しを伺った。
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―― 楽天チェックを発表してから反響はどうか

柴田:「おかげさまでたくさんの反響を頂いており、チェーン店の参加などが決まっている。店舗数でいくと1,000店舗強ぐらいで、現在のスマポの契約店舗数以上の規模でスタートできそうだ。」
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―― 実際にサービス開始時には全国1,112カ所で利用できることが発表された。参加ブランドは「紳士服はるやま」「ジョーシン」「日比谷花壇」などの61ブランド。

―― スマポと楽天チェック、何か反応の違いは感じるか

柴田:「スマポでは2つの反応があった。1つは来店するだけでポイントが貯まる点が新しく受けがいいこと。もう一つは、スマポポイントにあまり馴染みがないため、ポイントが加盟店の商品券やポイントカードに交換できるという点で理解のためにワンクッションの説明がどうしても必要になるということだった。
今回、楽天スーパーポイントの場合はほぼ説明が不要なため、そういった意味では良い反応が得られそうだ。
それから、スマポは一都三県と大阪などを中心に23都道府県で展開しているが、せっかく九州や四国の方がスマポを知っても、近くに使える店舗がないので、早く使えるようにして欲しいといった要望が、レビューなどを見ていても多かった。楽天チェックでは全都道府県で使ってもらえるので、いままで利用できなかったユーザーにも利用できるようになる。」
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―― 楽天市場に出店している店舗には「楽天チェック」導入のアプローチをしているのか?

柴田:「店舗はスポットライト自身で開拓するのがまずは基本方針だが、一部は楽天市場や楽天Edyの加盟店などの顧客接点を通じてアプローチをしている。
楽天Edyは35万の加盟店がいる電子マネーサービスなので、その一部へのお声がけは楽天Edyと一緒に行っている。」

―― スマポでは店舗の近くを通りかかったユーザーに対してiBeaconを使ってPUSH通知を行う機能を導入した店舗があったが、そのようなあらたな取り組みは計画があるのか?

柴田:「まだまだO2Oの分野は技術的な規格が多様なものが乱立している状況だ。しかし、乱立しているからといってやらないのではなくて、いろんなものに手を伸ばして使えるものは使っていこうという方針で臨んでいる。Bluetoothや、Wi-Fi、GPSなどはもちろん活用していく方針だ。近くを通りかかったら教えてくれるようなユーザー体験が使える場面もあるので、核の部分としてやっていこうと考えている。」

―― 現在は店舗でチェックインできることがアプリの基本機能だが、店内にいる利用客へプッシュ通知などで情報提供を行っていくような計画はあるのか。

柴田:「店舗内での情報提供をしていくことは大前提として考えている。どのようなアプローチが良いかは、業種業態によって正解が異なる部分があるので、店員の一つの接客ツールとして活用できるようにしていきたいと考えている。
いままでは会員カードをレジで渡すと、スキャンされて、そこで初めて誰が来店したかわかる仕組みだったが、本当は入店した時点で誰が入ってきたかわかった方が接客には活かしやすい。
いままではできなかったことだが、技術的には実現可能になっているので、あとはどのようにオペレーションに結びつけるか、顧客体験という中でどう活用していくか、という段階に差し掛かってきている。そこはパートナーさんと密に連携しながら、近い将来に新しい接客の形を作っていきたい。」

―― プライバシー面での難しさはあるのか?

柴田:「プライバシーとユーザーの利便性は必ず天秤になっているので、ユーザーの気持ち悪さより利便性やお得感が勝るかどうかが大事になってくる。
事業者の論理を押し付けるのではなく、ユーザー目線でみてメリットが必ずないと利用されない。メリットがないのにプライバシーを渡すことはユーザーは行わないので、そのバランスは大事だと思っている。」

――楽天チェックへの期待感

柴田:「いままでネットとリアルがわかりやすく二項対立的な形で捉える事業者の方も多かったと思うが、そういった考えはだんだん減ってきている。スマートフォンの登場の影響が大きいが、リアルとネットの垣根がどんどん低くなっている。店内でスマートフォンを使う状況があたりまえになっていて、店内にインターネットが侵食してきている状況だ。それを防ぐ手立てはもうないので、それに抗っても仕方がない。
逆にインターネット上のリーチをどのように店舗の売上に結びつけていくか、どのように実店舗のマーケティングに活用していくかというのを、真剣に考えなくてはいけない段階になっている。2014年は岐路にあるのではないかと思う。
「楽天チェック」はある意味一番わかりやすいO2Oサービスだ。楽天スーパーポイントは日本で一番大きい会員組織で、一番強いポイントプログラムで、そのポイントプログラムを使って、9,000万人の人々を実店舗に連れてきましょうというものだ。
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こんなにわかりやすいO2Oサービスはないので、まだまだO2Oってどうやればいいんだろう?っていう答えがない方たちにもエントリー商材としてものすごく良いのではないかと考えている。
「楽天チェック」は画期的なサービスなので、ネットは苦手だから取り組みは全然していないという企業さんにこそ、一番フィット感が高いのではないかと考えている。」
―― 確かに楽天会員を実店舗に集客できるサービスと考えるとわかりやすい。
柴田:「まずはお店に来てもらわないとどうしようもないが、チラシなどを撒いてもどうにもならない実態が実店舗にはあって、新聞を読んでいる人は世の中の本当に一部の人なので、チラシを撒いても届かない状況がある。
そんな中、インターネットはみんなが使っているものなので、どうやってその人たちに実店舗に振り向いてもらうのか、というところにある程度の答えがあると思っている。
自社のEC作ったり、ファンシーなバズマーケティングをするとか、そういったことができる企業もあれば、向いてない企業もある。
無印良品やローソンなど、デジタルマーケティングがすごくうまいケースもあるが、みんながみんなできるわけではなく、世の中の大半の実店舗の人たちは、そもそもスマートフォンを持っていない方が経営している側面もあり、デジタルデバイドも大きいと思う。
そういう方たちにとっても、楽天というサービスがあって、9,000万人が使っていて、楽天ポイントが日本で一番人気のあるポイントサービスで、ポイントが効く、というのは重々承知していると思うので、後はそれを集客に使いましょうということだ。
非常にわかりやすいサービスなので、まずはそこから取り組みをはじめることが有効なのではないかと思っている。」
―― 「楽天チェック」では、スマポとは違ったアプローチでも力をいれているようだ。
柴田:「メッセージのサービスで、チェックインをするとメッセージをLINEのような形でユーザーに届けることができる。どんどん母数を増やし、顧客との接点を深くしていくこともできるプラットホームになっている。
来てもらうだけでなく、その後のフォローアップもできる。わかりやすいサービスになっている。
楽天チェックではスマポよりもメッセージ機能を全面に押し出していきたい。」


編集後記

楽天チェックの可能性

どれだけのユーザーが「楽天チェック」を利用するか、といった面が気になるところだが、アプリは楽天IDでログインすることが可能なため、楽天の会員であれば登録の手間がないのが強みだ。さらに、楽天会員は約9,000万人が登録しているため、障壁はほぼダウンロードの手間だけと言えるだろう。
そして利用しやすい楽天スーパーポイントが貯まることで、インセンティブとしての価値を感じやすい側面がある。
店舗が「楽天チェック」を導入する費用は成功報酬型となっている。月額費用は不要で、チェックインした人数に応じて費用が発生する成功報酬型の費用体系となっている。システムの改修や店員のオペレーション変更が不要なので、導入しやすいのが特徴だ。

属性を元にしたターゲティングと確実な来店を検知出来る仕組み

「楽天チェック」がポイントの発行を単なるばらまきにしないために工夫していることは3つあるという「1.性別や年代で絞り込める」「2.月単位、週単位で来店頻度を設定可能」「3.超音波を使った正確な来店検知」だ。
「楽天チェック」では、性別や年令、地域などでターゲットを絞ってポイントを設定することも可能だ。もちろん楽天IDと連携しているので、「20代女性の東京に居る楽天会員」といった属性のユーザーに来店を促すことができる。
これにより、あきらかにターゲットではないユーザーがチェックインだけをしにくる、といったことを防ぐことができるのも魅力だ。将来的にはより細かい属性設定も可能になっていくとのことだ。
来店の検知は、店舗に設置する小型の超音波を発信する端末で行われる。店内の「レジカウンター付近」といった場所を指定することができるので、来訪者に訪れて欲しいポイントを設定することができる。また、超音波は壁を通り抜けないので、店舗の外や、隣の店舗からチェックインする、といったことができないので、来店していないのにチェックインできてしまうといったことも起こりにくい。
柴田氏は「楽天チェックは成長余地が非常に大きいサービスなので、早い段階で参加してもらったほうがメリットを受けられるのではないか」と語った。ネットから店舗への送客を活性化させるサービスとして利用が広がっていくのか、これからの動きにも注目していきたい。


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イイヅカ アキラ
ST編集長。Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。

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