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【調査レポート】買い物はどこでする?世代間でのニーズの違いとその変化

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株式会社日本能率協会総合研究所は、15~79歳の男女を対象に「買い物場所の使い分け調査2013」を実施し、その結果を発表した。この調査では「1. 小売業の業態別利用実態、2. スーパー・コンビニ・日用品店の利用実態、3. 食品・日用品の購入先とその理由について」を網羅的に調査したもので、2005年から実施されている。
調査では10代〜60代と60代〜70代と別けて結果を表示しており、シニア世代のニーズも浮き彫りになっている。
この調査で興味深いのは、店舗だからこそ提供できる商品へのニーズの高まりと、シニアが品質重視の傾向にある点だ。時代背景によるニーズの変化や世代間でのニーズの違いなど、興味深い傾向を確認することができる。
それでは、調査結果を紹介していく。

アウトレットモール、ネットスーパー、ショッピングモールの利用が増加

26の業態の中で1年間に1回以上利用したかどうかを聞いたアンケートでは、10代〜60代は「コンビニエンスストア」94%と一番多く、「大型スーパー」「食品中心のスーパー」「ドラッグストア」「100円ショップ」は80%以上の利用経験があった。
利用経験の増減を2009年と比較すると、道の駅・マルシェ等の「直売所」が増加率トップ、次いで「アウトレットモール」「ネットスーパー」「大型ショッピングセンター・モール」が増加しており、それ以外の22業態は横ばいか減少傾向にあった。
最も増加した「直売所」は2011年には2割強だったものが3割強まで増加しており、10代〜60代よりも60〜70代のシニアの利用率が高い業態で、4割弱の利用経験があった。
利用するきっかけは「新鮮な商品を買うとき」「安心・安全な商品を買うとき」「通りがかりに目的なく立ち寄る」といったもので、品質へのこだわりが利用に繋がっているとみられる。
シニアの利用率が高い業態はこの他に「デパート・ 百貨店」「個人商店・ 専門店」「酒中心のディスカウントショップ」「カタログやチラシなどの通信販売」など、全体的には減少傾向にある業態があげられる。逆にアウトレットモールやショッピングモールの利用率は極めて低い。
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ネットスーパーは利用の定着が進む

ネットスーパーは2009年の8%から2013年は12%に増加しており、ようやく1割を超えたところだ。大手スーパーはすでに展開しており、全国で展開するネットスーパーも出てきている、2014年も高い成長が見込める業態だ。
利用する機会は「重いもの・かさばるものを買うとき」が38%、「買う商品をあらかじめ決めているとき」「日常の買い物をするとき」が利用者の3割を超え、2009年に比べると「日常の買い物をするとき」「重いもの・かさばるものを買うとき」が2倍程度増加している。
利用経験者のうち、月に2回以上する人は2009年の15%から2013年29%と増加しており、定着し始めていると言えそうだ。
シニアに関しては「安いものを買うとき」「1~2品だけ買うとき」といった理由を上げる人が多く、「重いもの・かさばるものを買うとき」と上げた人は、10代〜60代の28%より1割も少ない意外な結果もあった。
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スーパーに求めるのは「品揃え、安さ、品質、安全性」、シニアは新鮮さと少量サイズのニーズが高い

買い物をしたいスーパーを聞いたところ、「商品の品揃えが多い」「商品が安い」が74%、次いで「商品が新鮮」「商品の品質がいい」「商品が安心・安全」といったもののニーズが高いようだ。
シニア世代では「商品が新鮮」が81%と最も高く、10代〜60代とシニアで比較すると「商品の品揃えが多い」「商品の品質がいい」「いろいろな商品が一度に買える」「少量パック・必要量だけ買える」などが高い傾向にあった。
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利用するスーパーは「生鮮食品の品揃え、ポイントカード、行きやすさ」で選ぶ

利用するスーパーを選ぶ理由を聞いたところ「生鮮食品が充実」が59%とトップで、次いで「ポイントカード」が高い。2009年から比較すると、生鮮食品やポイントカードをはじめとして全体的に減少傾向にあるが「惣菜や弁当が充実」「飲料(ソフトドリンク) が充実」「お菓子やデザートが充実」「焼きたてパンがある」などが伸びており、コンビニが強化している面がスーパーにも求められる傾向があるようだ。
シニア世代は「生鮮食品が充実」「旬のものがある」「加工食品が充実」など、食材にこだわっている傾向が見られる。
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今回の調査結果から見えてくるのは、消費者の購買チャネルの使い分けだ。店舗に対して高まっているニーズは、店舗だからこそ提供できる商品であると言えるだろう。その背景にはネットの普及、販売チャネルの多様化などがあるが、それぞれの優位性を見極めることがより重要になってきていると言えそうだ。
また、シニア世代に関しては時間と経済的なゆとりからか、品質へのこだわりが際立っているように見えた。
それぞれのチャネルの良さを引き出し最大限に活用する動きは2014年のキーワードでもあるオムニチャネル化の考え方にもつながりそうだ。

【調査概要】
調査手法:株式会社日本能率協会総合研究所「モニターリサーチ・システム」利用による郵送調査
有効回答数:2,203 人(発送数3,000 人・回収率 73.4%)
平均年齢:15~79歳の男女
調査期間:2013年7月5日(金)~7月16日(火)
調査地域:関東・関西エリア
実施機関:株式会社日本能率協会総合研究所
「買い物場所の使い分け調査2013」結果の速報
http://www.jmar.biz/hot/html/s_dai06_1.html
イイヅカ アキラ
ST編集長。Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。

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