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【調べてみた】電子マネーは誰がどこで使ってる?

電子マネー「WAON(ワオン)」の年間利用金額が2兆円を突破したことが先日イオンにより発表された。同社によれば国内IC型電子マネーで2兆円を超えるのは初めてだという。
野村総合研究所によると、2015年における国内電子マネーの市場規模は5兆円であることから、その約4割を「WAON」が占めることになる。これに続くのがセブン&アイグループが展開する「nanaco(ナナコ)」で、この2社でシェアの大半を担っているものとみられる。
人によってはこの状況を意外に感じる人もいるかもしれない。特に関東圏の人にとってはJR東日本が展開する「Suica(スイカ)」をメインで利用している人が多いのではないだろうか。今回は電子マネーが一体どこで誰が使っているのかを調べてみた。
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四国・中国地方などではスーパーで最も利用されている

それを知るうえでは、統計局が発表した「家計消費状況調査」が参考になる。以下は各地域で電子マネーを使用している世帯の割合と最も多く利用している場所を示したグラフだ。
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日本銀行広島支店が作成

5兆円という市場規模は交通機関を含まないものとなるが、上記のグラフは交通機関での利用も含めたものになる点に注意していただきたい。(定期券としての利用は含まない)
全体で見れば、交通機関が46.6%、コンビニエンスストアが20.7%、スーパーマーケットが27.7%となるが、その割合は地域によってかなりばらつきがあることがわかる。
まず、交通機関での利用は関東と近畿が極端に多くなっており、東京や大阪などの都市に集中していることが推測される。一方で四国、中国、東北ではスーパーマーケットの利用が大きく、その割合は東京の3〜4倍にも及ぶ。
また、関東を調査対象から外せばスーパーマーケットが圧倒的に利用されている状況になる。
そして以下は、年代別に最も多く利用している場所を年代別に示したグラフだ。24歳まではスーパーマーケットをメインで利用しているケースがほとんどない。
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下記は日常的な支払いで使う決済手段。いまだに現金が圧倒的な状況に変わりはないが、高額な決済でも電子マネーが使われ始めていることがわかる。
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日本銀行広島支店が作成

都市では「Suica」などの交通機関が発行する電子マネーの存在感が大きいが、それ以外ではスーパーマーケットが発行する電子マネーの存在感が大きい現状がうかがえる。
また、交通機関での利用を除けば、30代〜40代が電子マネーの利用を牽引しており、こちらもスーパーマーケットの影響が大きいことがわかる。
ここから推測すれば、「電子マネーは地方の30代〜40代の主婦に最も使われている」といえるのではないだろうか。
野村総合研究所によると、電子マネー市場は2020年に10兆円を超えるとみられており、現在の4倍に成長する見込みだ。今後どのように広がっていくのかにも注目していきたい。

イイヅカ アキラ
ST編集長。Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。

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