COLUMNINTERVIEW

オリジナルグッズを低価格かつ1個単位で発注できる「Canvath(キャンバス)」Grow代表 一ツ木崇之氏インタビュー

STORES.jp」や「BASE」の登場により、誰でも簡単にネットショップが作成できるようになった。しかし、ショップを立ち上げても何を売ればよいかわからないという人も多いのではないだろうか。
そんな中、ネットショップが簡単に作成できるようになった次に、モノ作りや仕入れのリスクも失くそうとしているサービスがある。オリジナルグッズを低価格で作成することができる「Canvath(キャンバス)」だ。
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低価格かつ1個単位でオリジナルグッズが作成可能

「Canvath」は、デザインした画像やイラストをサイト上でアップロードするだけで、オリジナルグッズを作成し、発注することができるサービス。
作成できるのは、スマホケースやTシャツ、トートバッグ、クッション、ハンドタオル、マグカップのオリジナルグッズで、特徴は低価格かつ1個単位で発注ができる点。業界最安値にこだわっており、スマホケースは980円(税込)、Tシャツは1,800円(税込)で作成することが可能で、この価格には送料も含まれている。しかも、届けたい相手に直接発送してくれるのもポイントだ。発注してから4営業日〜7営業日で届けている。
2014年11月のリリース以降、毎月2倍づつ売上を伸ばしており2015年3月には月商100万円を超える予定だ。
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あらゆるオリジナルグッズを業界最安値かつ1個単位で発注できるサービスに

Grow株式会社代表の一ツ木崇之氏は、「Canvath」を提供するきっかけとして以下のように語っている。
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Grow株式会社代表 一ツ木崇之氏

一ツ木「Canvathを共同で運営しているベーシックは、もともと「Phocase(フォーケース)」というスマホケースを販売するサービスを展開していました。いろいろなデザインのスマホケースを販売し、発注があったら1個単位生産する『オンデマンド』の形でサービスを提供しているのですが、この『Phocase』の仕組みを使って、『BASE』や『STORES.jp』で販売するクリエイターの人たちに発注先として使ってもらう仕組みを作れないかと考えたのがきっかけです。」
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「Canvath」は1個単位で発注が可能なうえ、かなり安い料金でサービスを提供している。この背景はどういったものなのか。
一ツ木「簡単にネットショップが作れるようになりましたが、その人たちが何か物を作ろうとしたときに、いままでは仕入れをしてから売らないといけなかったんですね。そうすると、どうしても在庫リスクを抱えることになります。
Canvathはそのリスクを出来る限り低くして、ネットショップオーナーのためのオリジナルグッズの発注先になりたいと考えました。印刷が可能なあらゆるオリジナルグッズを業界最安値かつ1個単位で発注できるサービスになることを目指しています。」
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他社と比べて平均で60%〜70%程の低価格を実現しているという「Canvath」。なぜこの価格を実現できたのだろうか。
一ツ木「現状はほとんど利益を考えずに原価でやっています。工場には『最初はとにかく安くして面を取りに行きたい、原価で売るので印刷工場が稼働していない時間に作ることによって、価格を抑えてください』というお願いをして、価格が見合った2つの工場にお願いしています。提携工場は今後も増やしていきます。」

ネットショップとの連携に関して

「Canvath」で作成したオリジナルグッズはモールも含めどこで販売しても良いのだが、「BASE」に関しては「Canvath」側からボタン一つで簡単に出品できる機能も提供している。「STORES.jp」や「Yahoo!ショッピング」などの他のサービスに関しても連携していく予定だが、まずはBASEとの連携を強化していく考えだ。
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現在は、「BASE」で商品が売れた場合に、「Canvath」のサイトで発注し、届け先の住所などを入力する必要があるのだが、この辺りも自動で「Canvath」側に反映できるようにする予定だ。

新たに画像シュミレーター機能を追加

利用者としてはオリジナルグッズのラインナップの拡充に期待したいところだが、先週新たに「iPhone 6 Plus」がラインナップに追加され、印刷加工にマットも追加された。
それに加え、画像シミュレーター機能がリリースされ、アップした画像の位置やサイズをブラウザ上で確認しながら調整することができるようになった。
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今後は、ストッキングや生地など、アパレル工場といろいろなものを1個単位や1メートル単位から注文出来る形で調整中とのことだ。

印刷で作れるあらゆるオリジナルグッズを最安値で

将来的にはどのようなサービスにしていくのだろうか。
一ツ木「1つのデザインをあげれば、印刷で作成できるあらゆるオリジナルグッズが作れる。そして、国内最安値かつ最速で届けるようなサービスにしていきたい。」
同社が参考にしているという「Society6」というサイトは、あらゆるオリジナルグッズを作成するという面をすでに実現しているサービスだ。
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「Society6」には世界中から数十万人のアーティストが参加しており、1つのアートワークから様々なオリジナルグッズが作成されている。
好きなアートを選んだ後にグッズを選ぶといったショッピングが可能で、商品が購入されると「Society6」が購入者に商品を届ける仕組みだ。
確かにここまで充実すれば、ひとつのデザインでかなり商品が売れるイメージが湧いてくる。
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オプション機能による収益化を目指す

ほとんど原価で商品を提供している「Canvath」はどのような収益化を想い描いているのだろうか。最後に収益化について聞いた。
一ツ木「価格はこれ以上、下げられないような水準でやっているので、有料のオプション機能を提供する形で収益化をしていきたいと考えています。例えば、速達オプションや、配送時に同梱する紙にロゴを入れるなどといった様々なオプション機能を提供し、月額の固定費用をいただくイメージです。」
現在、発送する箱はあえて無地にしており、同梱する書類にも価格が記載されていないものになっているようだ。このあたりを個別にカスタマイズできるようにすることで、付加価値にしていく考えだ。

編集後記

私は個人的に、イラストレーターやデザイナーが、もっと自分の作品を気軽に販売できる仕組みが現れないかと考えていた。最近では「LINEスタンプ」をイラストレーターが販売し話題になる機会も増えてきたが、そういった形で自分がオリジナルでデザインした商品を気軽に売ることができれば、クリエイターの新たな収益源が生まれるだけでなく、買う側にとっても多様な選択肢が生まれ、双方にメリットがあるはずだ。
「オリジナルグッズを作って販売しようと思った時に、まずCanvathを想起してもらえるようになりたい。」という一ツ木氏。決して簡単な道ではないと思うが。仕入れのリスクを抱えずに自分の作品を販売することがあたり前になる世界を是非実現して欲しいものだ。


Canvath(キャンバス)
https://www.canvath.jp/

イイヅカ アキラ
ST編集長。Web制作会社にデザイナー、ディレクターとして従事後、フリーを経て、現在は株式会社プレイドに所属。

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