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楽天子会社のEbatesがレビュープラットフォーム「Influenster」に9億円を出資

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レビュー・プラットフォーム「Influenster(インフレンスター)」を展開するInfluensterは、楽天の完全子会社であるEbatesから800万ドル(約9億円)を調達したことを4月5日(現地時間)に発表した。同時に、Ebatesのバイスプレジデントであるケン・ハーシュマンはInfluensterの取締役に就任する。

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ユーザーが積極的に参加したくなるような仕組みづくり

「Influenster」は、カスタマーレビュー・プラットフォームだ。ユーザーは「Influenster」で商品のレビューの確認をしたり、価格の比較をすることができる。カバーされている商品の種類はコスメティック製品から電子機器までさまざまで、その数は100万点にものぼる。その中でも特にコスメティックのカテゴリーでの活動が盛んだ。

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「Influenster」がユニークなのは、ユーザーがレビューの投稿に積極的に参加したくなるような仕組みづくりをしている点だ。同社のプラットフォームで取り扱われている製品の中には、ユーザー参加型のミッションが用意されている製品もある。レビューや写真を掲載するなどしてミッションをクリアすると、無料で商品を手に入れたり、クーポンを獲得したりといった恩恵を受けることができる。

また、「Influenster」のサイト上では、一般のユーザーがブログ記事やビデオレビューなどを掲載できるようになっている。「Influenster」のアカウントには、Impact Scoreというソーシャル・アクティビティの度合いを測るスコアが用意されていて、レビューを掲載するなどの活動はそのスコアを高めることになる。Impact Scoreの高いユーザーには、企業からのテスターが詰まった「Vox Box」と呼ばれる箱が無料で届く可能性があり、Vox Boxに入った商品をまたレビューすることで、Impact Scoreを高められるという仕組みだ。



マーケティング・プラットフォームとしての「Influenster」

その一方で「Influenster」は、企業からはマーケティング・プラットフォームとして利用されている側面もある。企業は同プラットフォーム上でターゲットグループを指定し、直接その消費者にディスカウントを提供することなどができる。また、「Influenster」上でのアンケート調査、自社の商品のソーシャル・アクティビティのチェック、それに基づいたレポートを受けとることも可能だ。そうした企業の中には、「Influenster」から得られた消費者の生の声を、「推薦の言葉」としてパッケージに掲載した例もあるようだ。同社の顧客にはP&G、ネスレ、ユニリーバ、などの一流企業も含まれている。

創業以来、Influensterは黒字を継続しており、その規模も拡大中だ。現在では170万人以上のユーザーを抱え、プラットフォーム上には600万件以上のレビューが掲載されている。そしてその数は毎月50万件のスピードで増え続けているという。Influensterは今回の出資によって、増え続けるユーザーとレビューに対応するための規模の拡大をはかる。



Ebatesが強化を進める「Product Discovery」

2014年9月に楽天の完全子会社となったEbatesは、米国最大級のキャッシュバック・サイト「Ebates.com(イーベイツ)」を展開している。ユーザーは「Ebates」に会員登録することで、同サイトを経由した買い物で3%~6%のキャッシュバックを得ることができる。登録されているショップは「Amazon」など2,600店以上に及び、アクティブ会員数は250万人だ。

Ebatesの今回の出資の狙いは、ユーザーと商品との最初の接点になる「Product Discovery」と呼ばれる分野を強化することにあると考えられる。ケン・ハーシュマンは、「Ebatesとinfluensterは消費者に最良のインセンティブ、情報などを与えることで、彼らの力を高めるというビジョンを共有しています。Influensterと協働することで、消費者により豊かで、より深みのあるオンライン・ショッピング体験を提供できることを期待しています」と語った。

Interner Retailerの調べによると、オンライン上にレビューを掲載することによって、コンバージョン率(サイトに訪れた全ユーザーの中で、設定されたWebサイトの目標を満たす行動をとったユーザーの割合)を14%~76%高めることができる。また、Jupiter Researchのレポートでは、77%の消費者がオンラインで買い物をする前に、レビューを読んでいると答えた。企業の「Product Discovery」に対する注目度が高まる中で、Ebatesはその分野の有力株であるInfluensterに出資したと考えられる。もちろん、現状ではあくまで出資者の一人であることから、EbatesとInfluensterの完全な統合は実現しない。ただ、将来的にはEbatesのプラットフォーム上でレビューも同時に確認できるなどの機能が備わる可能性もある。

先月、Ebatesは同じく「Product Discovery」の分野に位置するクーポン・アプリの「Shopular(ショピュラー)」を買収している。Ebatesを中心とした、楽天グループの今後のグローバルEC戦略にも注目だ。

Influenster(インフレンスター)
https://www.influenster.com/

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