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「ポケモンGO」が見せた人の行動を変える威力

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アメリカでのサービス開始から遅れること約2週間の7月22日、日本でもようやくスタートした「ポケモンGO」。週末はポケモン目当てに外出した人も多かったのではないでしょうか。
実際外に出てみると、街の至る所で「ポケモンGO」に関する会話が耳に入ってきて、その話題ぶりを実感することができました。

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今回は「ポケモンGO」が変えた人の行動を中心に紹介していきたいと思います。


リリースから1週間で最もダウンロードされたアプリに

日本のApp Storeで配信を開始した22日から今日までの4日間、無料アプリのダウンロード数1位、アプリの売上1位をずっとキープしています。この状況は7月6日にサービスを開始した米国でも続いており、7月25日時点のダウンロード数、アプリの売上はともに1位となっていました。開発社であるナイアンティック社が提供する位置情報ゲームアプリ「イングレス」も5位に上がってきているのも興味深いですね。

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左が無料アプリダウンロード数のラインキング、右が売上のランキング

米メディアPolygonによると、「ポケモンGO」は「最初の1週間でApp Store史上最もダウンロードされたアプリ」となったことをApple社が認めたとのことです。
Apple社はダウンロード数については言及していませんが、調査会社のSensor Towerは、最初の1週間で1,000万ダウンロードを超えたと伝えており、7月19日の時点で3,000万ダウンロード、3,500万ドル(約37億円)を売り上げたとしています。

ちなみにSensor Towerは、1,000万ダウンロードまでにかかった日数をまとめたランキングも発表しています。2位には「Clash Royale」の9日間、3位には「Candy Crush Jelly Saga」の12日間が並んでいます。

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さて、前置きが長くなりましたが、3日ほどプレイしてみて感じたことをまとめておきたいと思います。


人の動線を変える「ポケモンGO」

「ポケモンGO」は、基本的に家の中にいるだけでは楽しめません。アイテムが入手できたり、ポケモンが付近に現れやすかったりする「ポケストップ」を目指して出かける必要があります。
もちろん家の隣が「ジム」や「ポケストップ」という人もいるでしょうが、それは一部の恵まれた人だと考えるべきでしょう。スマホアプリでありながら、外に出かけないと楽しめないゲームなのです。

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これによって、駅などの目的地に向かうついでに「ポケストップに寄っていく」という行動が生まれます。いつもの通り道にあるポケストップにただ寄るだけでなく、路地裏に入ったところにあるポケストップにわざわざ足を伸ばすなど、ちょっと遠回りしたくなってしまいます。スポットだけでなく、途中でポケモンがいる気配もわかったりするので、これも違う順路を選ぶきっかけとなります。
私は犬を飼っているので、散歩しながら地元をかなり歩いているつもりでしたが、「ポケモンGO」をはじめてから初めて歩いた道もあり、新しい発見もありました。
また、いつもと同じ道でも、ポケモンが現れたり、アイテムが入手できたりする場所になって、新しい意味が生まれていることに面白さを感じます。

さらに面白い要素があります。ゲームをした人であれば、桜のような花びらが舞っているポケストップを見かけたと思いますが、これはポケモンが一時的に出やすい状態になっていることを意味します。つまり、ここに行けば確実にポケモンに出会えるということです。

これによって、そのポケストップに人が集まってくるという現象が生まれます。アイテム「ルアーモジュール」を使えば誰でもこの花びらの状態にすることができます。30分間自分だけでなくすべての人に恩恵があるので、人が集まる場所に多く見られます。なかなか入手できないアイテムですが、100コイン(120円)で購入できるので、お店の横にあるポケストップに客寄せで使うケースもあるようです。
たまたま入ったジョナサンでは、ポケストップが2つ届く範囲にあったので、「最高の立地だなぁ」という話になりました。

葛西臨海公園では、大道芸人がパフォーマンスをする付近のポケストップでずっと「ルアーモジュール」が使われていました。これが功を奏したのかはわかりませんが、ショーの周りにはこれまで見たこともないような人だかりができていました。


「ポケモンGO」のイベント会場のようだった新宿御苑

ポケモンで圧倒的な人気を誇るピカチューが捕まえられるということで、「ポケモンGO」のユーザーが多く押しかけた新宿御苑。サービス開始から3日目に訪れたところ、券売機の前は長蛇の列を作っていました。(ちなみに入場料は200円)
場所によって、遭遇できるポケモンがぜんぜん違うのも面白さの一つで、レアキャラが出るとなれば、その場所に人が集まってきます。新宿御苑ほど有名なスポットでなくても、レアモンスターが現れるスポットはいろいろな場所にあるようです。

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一歩園内に踏み込むと、明らかに「ポケモンGO」を楽しんでいる人がたくさん。会話も「ピカチューでた!」「やった、タッツーゲット!」といった歓声がいたるところで起こっていました。
ポケストップが集まる芝生エリアには、たくさんの人が座ったり、寝そべったりしながら、「ポケモンGO」を楽しんでいたようです。

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58万3千平方メートルの広大な敷地というだけあって、たくさんのユーザーがポケモンを探しながらいろんな場所を回っていたわけですが、その光景は「ポケモンGO」のイベント会場のようでした。「あっちにピカチューいたぞ」って声もあれば、閉園間際にはレアモンスターとされる「ハクリュウ」が出たってことで、一時騒然とする場面もありました。
純粋に庭園をくつろぎに来た人にとっては迷惑になってしまったかもしれませんが、「ポケモンGO」が人の行動を変えてしまう可能性をまざまざと見せつけられました。ここまで人を動かしたゲームがこれまであったでしょうか。

実は私も新宿御苑に初めて訪れた一人です。庭園内は完全にポケストップに沿って散策しましたが、いろんな表情のある新宿御苑の魅力も楽しむことができました。かなり広い庭園でしたが、ポケストップを回ることで、まんべんなく散策できる形になり、人の動線を作るポケストップの面白さも感じました。
ピカチュウを探してさまよったのですが、ポケモンは1カ所に留まっているのではなく、出現場所が変わっていっているのも歩き回りたくなるポイントとなっていそうです。

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実際に新宿御苑でピカチュウを数匹ゲット。

このほかにも様々な公園が祭り会場のようになっているようです。初日の23時過ぎに寄った錦糸公園では、200人ぐらいの人が「ポケモンGO」を楽しんでいて、深夜とは思えない異様ともいえる光景が広がっていました。

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スマホ画面を奪っている状況

歩きスマホを助長するということで批判の声もあがる「ポケモンGO」ですが、その辺りはしっかりと考えられていて、近くにポケモンが現れた際に振動で知らせてくれるので、実際は画面を見ずに楽しむことができます。

ただ、アプリをバックグラウンドにしてしまうと、通知が受け取れなくなってしまうのと、歩いた距離に応じて育つタマゴに距離がカウントされなくなるので、ずっと立ち上げておく必要があります。
これにより、画面を見なくても「ポケモンGO」は楽しめるものの、アプリを立ち上げっぱなしにしている人が多いというのが現状です。つまりは、他のアプリを見る機会が減少することがしばらくは続くものと思われます。

ちなみに、バッテリー消費を抑えるために、スマホを逆さにすることで画面を暗くしてくれる「バッテリーセーバー」機能というものがあるので、スマホを逆さにして持ちっぱなしにしている人をたくさん見かけました。

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スマホを逆さに持った状態。ロゴがうっすらと表示されている

あと、ポケモンを立ち上げっぱなしにしてると、バッテリーは数時間と持たないので、充電用のバッテリーも必須になるということで、かなり売れているようですね。新宿のビックカメラではモバイルバッテリーがすべて売り切れていました。


この状況は一時的なもの?

異様ともいえる盛り上がりを見せている「ポケモンGO」ですが、加熱しすぎた状況と見る人は少なくないでしょう。実際「ポケモンGOはすぐ飽きられるのでは?」という声をもよく聞きます。

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正直なところ、ゲームを始めた当初は「これポケモンすぐ集まって、やることなくなっちゃうのでは。」って思ってしまいましたが、その辺はよくできていて、場所によって出やすいポケモンが全然違うので、なかなか集まりません。「公園で出やすい」とか「海で出やすい」といったわかりやすいものから、ピカチュウのように、特定の場所に現れやすいポケモンもいます。

つまり、いろんな場所に行かないと、すべて集めることはできません。さらには個体差や育成要素もあるので、同じ種類のポケモンを何匹も捕まえたくなってしまうなど、同じポケモンでも捕まえる意味がなくなりません。
場所だけでなく、タイミング(時間帯?)によっても出会えるポケモンが違ったりするので、その仕組みがより一層の偶然性を高めていて、貴重なポケモンに出会った際には思わず嬉しくなってしまう効果があります。

さらには、「ポケモンGO」で捕まえられるポケモンはまだ一部です。図鑑を見ると148匹が捕まえられるようになっているようですが、公式のポケモン図鑑を確認すると721匹のポケモンが存在します。なので、これから徐々に追加されていくことが考えられ、全部捕まえてしまったという状況には当面ならないように思います。


地域格差の解消は必須?

最後に現状一番重要な課題と感じた部分について触れておきたいと思います。「ポケモンGO」って、ポケモンを見つけるために外に出かけたくなるのが最大の魅力ですよね。海辺にいるポケモンに出会うために海に行きたくなる。そのために遠出するのも楽しそうだと思います。
ただ、人が集まる場所とそうでない場所の格差が大きく生まれている状況があるようです。


こうなってしまった理由は、ポケストップとなった場所が、開発元であるナイアンティック社が提供するスマホアプリゲーム「イングレス」のデータが元になっていることが影響しています。
ポケストップやジムは「イングレス」のユーザーが申請して登録されたスポットのデータ活用されており、イングレスのユーザーが多いエリアにポケストップが集中しているためです。

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右がイングレスの画面

現状、ポケストップやジムの新しい登録をユーザーから受け付けていない状況ですが、「ポケモンGO」を通して再度登録できるようにしてもらい、早期に様々な場所で「ポケモン」が楽しめるようになることを期待したいですね。「ポケモンGO」で登録されたスポットを、「イングレス」にも活用することもできますよね。

サービスがリリースされた際、ナイアンティックのアジア統括本部長である川島氏が自身のGoogle+でこんなエピソードを紹介していました。

岩田さんは、ポケモンを創りだした石原さんと最後までこのプロジェクトの成功へ向けた打ち合わせをされていた。
家族で楽しめること、子供が外に出て、世界の素晴らしさと出会えること。Wiiで様々な年代へとゲームの楽しさを取り戻した岩田さんの次の開拓を実現させること。

「ポケモンGO」によって、いつもと違う場所に行く動機が生まれるというのは素晴らしいと思いました。ついついいつも同じ場所に行ってしまいがちですが、世の中には素晴らしい場所がたくさんありますし、もっといろんな場所に訪れるべきですよね。そんなきっかけを「ポケモンGO」が与えてくれます。
これからも、人を外に出すだけでなく、いろんな場所に向かわせるようどんどん仕掛けて欲しいと思います。


おそろしいことに、「ポケモンGO」はサービスを開始してからまだ1ヶ月も経っていません。それでここまでの人を動かす状況を作り出しています。将来的にはポケモン同士を交換できるようになることが明言されていますし、これから新しいポケモンもどんどん投入されるでしょう。
イベントもどんどん開催されると思いますし、もちろん企業とのコラボ企画もすでにたくさん準備されているのではないでしょうか。

ちなみに7月末には、アプリを開きっぱなしにしなくてもポケモンをゲットできるデバイス「Pokémon GO Plus」も発売されます。ポケストップに立ち寄ることも可能とのことなので、かなり売れそうですね。

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これから「ポケモンGO」は様々な話題を生み出してくれそうな気がします。これからの展開に期待です。

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