COLUMN

これからの出店戦略に必要なのは役割の明確化—ポップアップストアを絡めた新しい出店戦略の可能性

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これからの店舗戦略は「役割の明確化」がキーに

しかし、ある程度の規模のブランドになってくると、商品のメンテナンスやブランドイメージの醸成といった点からも、ポップアップストアだけではなく、常設店舗も必要になります。
特に高額品になればなるほど、いつでもそこに行けば専門のスタッフがいてじっくり相談できるという環境が求められるでしょう。

ただ、この時に安易に常設店舗による拡大路線をとってしまうと、店舗マネジメントがうまくいかない、店舗単体での採算性が取れないといった状況に陥りやすくなってしまいます。

そういったトレンドをうまくキャッチして、新しい出店戦略をとっている事例が“色”を切り口にしたセレクトショップとして人気を集める「IROZA(イロザ)」です。

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▲2016年2月にオープンしたIROZAのフラッグシップストア

「IROZA」は2016年2月に、東急百貨店東横店西館1F SHIBUYA スクランブルIにフラッグシップストアをオープン。
ECの売上も堅調で、全国の商業施設から引き合いのある「IROZA」ですが、しばらくは旗艦店以外の常設店舗は置かずに、旗艦店でアプローチできない地方などのエリアでは、ポップアップストアを中心に展開する予定だと言います。

ある程度ブランドや店舗が軌道に乗ってくると、店舗拡大を目指したくなるものですが、常設店舗が増えることで人の管理をはじめとする店舗マネジメントやクオリティコントロールの負荷が増大してしまうという点は、実感のある方も多いのではないでしょうか。

少ないリソースで旗艦店のブランド体験向上へ注力し、地方やEC利用率の低いF3層(50歳以上の女性)には、期間を限定してポップアップストアでアプローチして認知度を上げる。
このように常設店舗とポップアップストアの役割を明確にした店舗戦略が、彼らの強みのひとつでもあります。(より詳しいレポート

同じように役割を明確にした店舗戦略をとっているのが、メンズ靴下専門ブランド「SOC TOKYO(ソックトーキョー)」。
交通量の多い渋谷の東急百貨店内に旗艦店がある「IROZA」とは打って変わって、「SOC TOKYO」の本店は都心から少し離れた世田谷区の三宿に本店を構えています。

人が頻繁に往来する立地ではないものの、閑静な住宅街に囲まれた本店はアロマの香りに包まれた穏やかな時間が流れ、思わず長居してしまいそうな心地よい空間。

商業施設にもポップアップストアというかたちで積極的に出店している「SOC TOKYO」では、商業施設は認知度を高めるため、本店はエンゲージメントを高めるため、と明確な役割分担がなされています。

実際、商業施設のポップアップストアでブランドを知ったお客様が、じっくり買い物をするために本店を訪れ、スタッフと会話を楽しみながら買い物をしていかれることも多々あるといいます。(より詳しいレポート


これまでは「認知する」「関心をもつ」「購入する」といった一連の行動がすべて常設店舗で行われ、その売上がすべてでした。
しかしECの売上高も年々大きくなり「購入する」という機能が徐々にオンラインにも拡大しはじめている今、リアル店舗の顧客接点としての機能に注目が集まり始めています。

つまり今後は店舗単体での売上だけを意識するのではなく、それぞれの店舗がどのように顧客の生活の中に組み込まれ、またどのようなブランド体験を与えるのかを意識することがこれからの店舗戦略に必要な考え方です。

今出店しようとしている店舗は認知を拡大するためなのか、顧客の関心を高めるためなのかを今一度見直してみてはいかがでしょうか。
最所麻美

最所麻美

大手百貨店勤務を経て、(株)カウンターワークスにてポップアップストアの出店コンサルティングに従事。「SHOPCOUNTER Library」にてポップアップストア出店のコツや成功事例などの記事を執筆中。
最所麻美
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